御用新聞

御用新聞とは

御用新聞（ごようしんぶん）とは、政治権力によってその方針や政策を支持し、普及させる役割を果たす新聞を指します。特に日本の歴史において、政府との密接な関連を持つこのタイプの新聞は、しばしば批判の対象となることがありました。欧米では、特定の政治的立場を明確に掲げる新聞も多いですが、日本の御用新聞は特に権力からの独立性が薄いとされ、そのことを批判されることがありました。

歴史的背景

明治時代初期、新聞は江戸時代の御用商人や御用達の概念を引き継ぎ、政府の御用を務めることが名誉とされていました。この時期、官尊民卑の社会風潮が強く、政府の支持を受けることは信用と見なされる傾向がありました。また、新聞は政府の政策を広め、社会を変化させる役割を持つと考えられていました。その結果、福地源一郎の『東京日日新聞』（現在の毎日新聞）が「太政官御用達」として急成長するなど、実際に多くの新聞が政府の御用新聞の地位を確立しました。

政治意識と変化

しかし、自由民権運動の進展に伴い、市民の政治意識が高まる中で、御用新聞は政府の利益にのみ奉仕するという批判を受けるようになりました。特に『國民新聞』は藩閥政府の手先として攻撃され、日比谷焼打事件や大正政変では実際に社屋が襲撃されるなどの事態が発生しました。これらの出来事を経て、御用新聞としてのデメリットが認識されるようになり、新聞社は「中立公正」を表明する姿勢を取るようになりました。

御用新聞の実例

明治維新以降、新聞は政府との関係を深めたり、多様な立場を持ち続けたりしてきました。例えば、朝日新聞は経営資金を政府と三井銀行から密かに受ける御用新聞としての基盤を築きました。また、日清戦争前後には、反戦論を唱えた新聞が攻撃されるなど、新聞の役割に変化が見られました。戦後になると、御用新聞の志向が減少し、機関紙としての形態が主流となります。

現代の御用新聞

現代になっても、商業新聞の中には御用新聞とのレッテルを貼られるものが存在しています。特に産経新聞は、自民党政権や財界に密接に結びついていると評され、御用新聞としての評価を受けています。また、読売新聞は大阪府との連携を受けて、「御用新聞」としての批判を浴びています。

このように、御用新聞は日本のメディアの中で特有の立ち位置を占めており、政治的な影響を受けながらも、その役割を果たし続けています。

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