御石神落とし

『御石神落とし』は、永久保貴一原作、増田剛作画による日本の漫画作品で、『ヤングアニマル嵐』にて連載されました。単行本は全8巻で、連載版から大幅に内容が改変されている箇所もあります。

あらすじ

主人公の神成豪は、民俗学を専攻するごく普通の大学生です。彼は大学の課題研究のために訪れた地方で、村祭りに遭遇し、そこで「御石神様」と呼ばれる道祖神に憑かれてしまいます。この出来事をきっかけに、彼は生身で過去へ跳んだり、曾祖父や藤原道長といった歴史上の人物に意識だけを憑依させたりする、数々の不思議な現象に巻き込まれていきます。

主な登場人物

神成 豪（かんなり たけし）：私立白泉大学の民俗学を専攻する大学生。村祭りで御石神を落としたことから、左手首にしめ縄を付けています。しめ縄を外すと股間から御石神様が現れるため、それを封印している状態です。普段はごく普通の大学生として生活しています。
現代 美幸（うつしろ みゆき）：豪の恋人で同級生。一時期、豪と上手くいかず不倫関係に陥ることもありましたが、豪への愛情は変わらない様子です。メアリーやアイラといった女性たちが豪に近づくことを快く思っておらず、不安から精神的に落ち込んでしまうこともあります。
蔀戸 明美（しとみど あけみ）：美幸が不倫していた男性の妻。夫とのセックスレスに悩んでいた過去があり、離婚後は御石神様を使って相談に乗るという、少し変わった活動をしています。
アメリア・スミス / メアリー：アメリカからの留学生。日本の性文化に興味を持ち、豪に惹かれていきます。美幸とは恋のライバル関係です。
水珠 アイラ（みずたま アイラ）：占いサークルを主宰する霊能者。神成に興味を持ち、御石神様を落として見せると豪に宣言しますが、自身も神成に惹かれていきます。
轟 民江（とどろき たみえ）：神成たちが参加するゼミの教授で、性文化を研究する民俗学者です。
轟 知帆（とどろき ちほ）：轟教授の孫娘で、生物学研究室に所属しています。御石神様のトラブルにも興味津々です。
堤（つつみ）：豪たちと同じゼミの男子学生。軟派な性格で、トラブルに巻き込まれることもあります。
茂介（もすけ）：豪の曾祖父。豪が過去に意識を飛ばした際、彼に憑依します。
早苗（さなえ）：豪の曾祖母で茂介の妻。過去にメアリーが憑依したことで、縁談が破談になりかける騒動が起こります。
一平（いっぺい）：茂介の幼馴染。調子のいい性格です。
杉六（すぎろく）：茂介たちの幼馴染。貧弱な体格のため、村を出ることになります。
白菊（しらぎく）：江戸時代の遊女。男性と目を合わせるとカエルに見えてしまうというトラウマを抱えています。
梅川（うめかわ）：白菊の先輩遊女。白菊を庇い、後に大店の主人に身請けされます。
榊のご隠居（さかきのごいんきょ）：白菊を水揚げしようとした客。白菊を庇います。
倉地政之助（くらち まさのすけ）：江戸時代の武士。御石神様の力で豪が憑依します。
藤原道長（ふじわら の みちなが）：平安時代の公家。豪が憑依します。
愛染 カズマ（あいぜん カズマ）：セックス教団「アイゼン教会」の教祖。女性たちを勧誘し、教団内で性技を教えていましたが、後に解散します。

作品の特徴

本作は、主人公のタイムスリップや憑依体験を通じて、日本の歴史や文化、性に対する考え方を深く掘り下げています。また、個性豊かな登場人物たちの恋愛模様や、時にコミカルで、時にシリアスな展開が読者を飽きさせません。

書誌情報

原作：永久保貴一・作画：増田剛『御石神落とし』白泉社〈ジェッツコミックス〉、全8巻
2004年9月29日発売、ISBN 4-592-13337-4
2005年6月29日発売、ISBN 4-592-13448-6
2005年10月28日発売、ISBN 4-592-13449-4
2006年3月29日発売、ISBN 4-592-13450-8
2006年9月29日発売、ISBN 4-592-14365-5
2007年1月29日発売、ISBN 978-4-592-14366-6
2007年5月29日発売、ISBN 978-4-592-14367-3
* 2008年1月29日発売、ISBN 978-4-592-14368-0

参考資料

本作を理解する上で参考となる書籍や論文がいくつか挙げられています。例えば、性や民俗に関する研究書、歴史書などが参考資料として挙げられています。

これらの資料は、作品に登場する様々な風習や文化の背景を理解する上で役立ちます。

『御石神落とし』は、単なるエロティックな漫画としてだけでなく、日本の文化や歴史、そして人間の性に対する深い考察が含まれた、読み応えのある作品と言えるでしょう。

もう一度検索