徳井町 (神戸市)

神戸市灘区徳井町：歴史と伝統が織りなす街

神戸市灘区東部に位置する徳井町は、1968年（昭和44年）、それまでの徳井、前田、下小田中という地区を統合して誕生しました。郵便番号は657-0033です。

地理的位置

徳井町は、南に記田町、西に高羽川を挟んで桜口町（南部）と備後町（北部）、北に中郷町、東に石屋川を挟んで東灘区御影石町と隣接しています。町内は東から順に一丁目から五丁目まで分かれています。

町名の由来

『神戸の町名』によると、徳井という地名は「神の恩寵」を意味する「トクイ」に由来するとされています。中世には、この地域は北野神社領の徳井荘として知られていました。明徳元年（1390年）の文書には「北野社領摂津国得位時枝庄」と記載されており、荘園の領家が京都の北野神社に寄進したことが分かります。この徳井荘は、現在の徳井町と東灘区御影塚町の一部にあたる東明村を含んでいたと考えられています。

時枝庄については諸説ありますが、歴史研究者の若林泰氏によると、上石屋地区の旧家などに時枝姓が多く、江戸時代に庄屋年寄などを務めていたことから、旧石屋村を指すのではないかと推測されています。

大工の町としての伝統

徳井町は古くから大工の町として知られ、灘区の町名に関する文献には、元徳や大政といった棟梁が有名だったと記されています。灘地区の西郷や中郷周辺の酒蔵の多くは、徳井町出身の大工によって建てられたと言われています。高度な技術を持つ大工たちが多く住み、地域の建築物を支えてきた歴史が町のアイデンティティとなっています。

人口

2020年（令和2年）の国勢調査によると、徳井町の人口は2,078人（男性988人、女性1,090人）、世帯数は1,020世帯でした。

まとめ

徳井町は、北野神社ゆかりの荘園に起源を持ち、近世以降は高度な技術を持つ大工たちが多く住む町として発展してきました。歴史と伝統、そして現代の人々の暮らしが調和する、魅力的な地域です。その歴史と、大工町としての伝統は、現在も町の景観や人々の意識に色濃く反映されています。これからも、この地域の豊かな歴史と文化を継承し、発展していくことが期待されます。

参考文献

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年。ISBN 978-4-343-00437-6。
灘区役所広報相談課 編『灘区の町名』灘区役所広報相談課、1976年。

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