徳山村 (岐阜県)

徳山村の歴史と地理

岐阜県揖斐郡に位置した徳山村は、揖斐川の上流に広がる美しい自然に囲まれた地域でした。しかし、1980年代に徳山ダムの建設が発表され、村は水没する運命にありました。このため、1984年から村民たちは移転を始め、1987年には藤橋村に合併されて廃村となりました。2001年には、残っていた住民もこの地を離れ、徳山村は完全に姿を消しました。

自然環境

徳山村の99.3%は森林に覆われ、多様な山々に囲まれていました。村内には金草岳や冠山、千回沢山などの壮麗な山々がそびえ立ち、その自然は村民の生活の支えとなっていました。また、揖斐川本流とその支流である西谷川が村の周囲を流れ、村民にとっては生活の源でもありました。村は、山手、櫨原、戸入、開田など、8つの集落で構成されており、それぞれが独特の文化と生計を有していました。

村の構成

• - 本郷: 村の中央部に位置し、役場や学校が所在しました。大火災に見舞われた歴史も持ちます。
• - 下開田: 徳山村で最も下流にあり、揖斐川沿いに存在していました。歴史的には漆原村として知られていました。
• - 上開田: 揖斐川の上流にあり、教育機関も存在していました。地域の交通も整備され、村民はこの地での生活を支えていました。
• - 山手: 1431年から名前が残り、独立した村としても知られ、地域の教育施設もありました。
• - 櫨原、塚、戸入、門入: それぞれ独立した集落を持ち、特に門入はダム完成後も最後まで村民が残り、特異な歴史を持つ場所となりました。

文化と歴史

徳山村は古くから人々が住み、縄文時代からの遺跡も発見されています。村の歴史は1600年代に遡り、江戸時代には徳川家の支配下に置かれていました。1871年には新しい行政制度として旧大野郡徳山村が形成され、村名も確立します。その後、1889年には町村制により正式に徳山村として成立しました。

村の文化は豊かで、村独自の祭りや伝承もありました。「徳山おどり」などのイベントは、村民の誇りとして大切にされていました。また、歴史的な資料や遺物も数多く残され、村の文化財が後世に受け継がれています。

ダム建設とその影響

1980年代に入ると、ダム建設の計画が発表され、村民たちは移転を余儀なくされました。村の重要な文化や歴史が水没することへの不安と悲しみが広がり、著名なドキュメンタリーや映画でも取り上げられることとなりました。映画『ふるさと』や『水になった村』は、その時期の村人たちの生活や苦悩を描いています。

当時の村民は、ダムの完成に向けて様々な努力を重ねましたが、最終的には集落ごと水没し、現在ではダム湖（徳山湖）となっています。湖の周囲には、かつての文化や人々の生活を懐かしむために設けられた「望郷広場」が整備され、昔の様子が伝えられています。

まとめ

かつて存在した徳山村は、自然と人々の営みが交錯した美しい場所でしたが、ダム建設に伴う移転によりその姿を消しました。今日では、その歴史や文化を後世に伝える活動が行われており、失われた村の思い出を偲ぶ場所として記憶されています。徳山村の物語は、自然と人間の関係、そして災害が人々の生活に及ぼす影響について考える貴重な教材となるでしょう。

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