徳島県営蔵本球場

徳島県営蔵本球場は、徳島県徳島市の蔵本運動公園内に位置する硬式野球場です。現在は命名権により「むつみスタジアム」の愛称で親しまれています。

歴史

この球場は、かつて旧陸軍歩兵第43連隊の練兵場だった場所に、1952年に開設されました。開場以来、長年にわたり徳島県の高校野球における重要な会場として利用されており、夏の全国高校野球選手権大会徳島大会など、数々の熱戦が繰り広げられてきました。

また、プロ野球の試合も過去に5試合開催された実績があります。1957年には、現在の阪神タイガースの前身である大阪タイガースが、ここで春季キャンプを実施した歴史も持っています。

野球専用球場としてのイメージが強いですが、かつてはサッカーの公式戦にも使用されていました。1981年にはサッカー日本代表の親善試合や、国際大会であるジャパンカップキリンワールドサッカーの会場としても利用されたことがあります。

独立リーグの本拠地として

2005年からは、四国アイランドリーグplusに所属する徳島インディゴソックスの主催試合が開催されています。リーグ発足当初は、徳島県鳴門総合運動公園野球場（オロナミンC球場）や徳島県南部健康運動公園野球場（アグリあなんスタジアム）に次ぐ準本拠地という位置づけでした。

2010年および2011年のシーズンでは、当初の日程では主催試合数が最も多くなる予定でしたが、天候不順による試合の振り替えが多く発生し、結果的にアグリあなんスタジアムでの開催数を下回る結果となりました。しかし、2011年には徳島インディゴソックスが初めて出場したリーグチャンピオンシップや、独立リーグ日本一を決めるグランドチャンピオンシップの試合がこの球場で行われています。

2012年シーズンには、公式戦36試合中23試合、さらに福岡ソフトバンクホークス三軍との交流戦全4試合がここで開催され、この年から事実上、徳島インディゴソックスの主たる本拠地球場としての役割を担うようになりました。その後も、2013年、2014年、2017年、2019年と、幾度かグランドチャンピオンシップの試合会場となっています（リーグチャンピオンシップはオロナミンC球場と併用されるケースもありました）。

命名権と愛称

2011年3月1日からは、5年間の契約で徳島県信用農業協同組合連合会（JAバンク徳島）が命名権を取得し、「JAバンク徳島スタジアム」の愛称が使用されるようになりました。この愛称は契約延長を経て、2021年2月28日まで使用されました。

2021年、契約満了に伴う公募の結果、新たに医療法人むつみホスピタルが3年間の命名権を獲得しました。これにより、2021年3月1日からは「むつみスタジアム」という愛称が用いられています。

施設概要

球場施設は鉄筋コンクリート造の3階建てです。グラウンドの広さは12,976平方メートルで、両翼は100メートル、中堅は116メートルという広さを持っています。内野は土、外野は天然芝で整備されています。収容人員は15,976人で、内野席に5,976人、外野席に10,000人を収容できます。スコアボードは磁気反転式を採用しており、ナイター設備として4基の照明塔（内野500Lx、外野300Lx）を備えています。

蔵本運動公園内には、この球場の他にもプール、テニスコート、体育ホール、相撲場といった施設があります。

アクセス

交通アクセスは、JR徳島線蔵本駅から徒歩約10分と鉄道での利用が可能です。JR高徳線徳島駅からは路線バスも利用でき、「グランド前」バス停で下車します。自動車を利用する場合、高松自動車道の板野インターチェンジまたは徳島自動車道の藍住インターチェンジから、それぞれ25分前後で到着します。

出来事

近年のできごととしては、2025年5月28日に開催された徳島インディゴソックスと阪神タイガース二軍との交流戦において、試合中に照明装置に不具合が発生し、ノーゲーム（試合中止）となった事例があります。

むつみスタジアムは、高校野球から独立リーグ、そして過去にはプロ野球やサッカーの舞台ともなった、徳島県のスポーツ史を語る上で欠かせない施設の一つです。

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