徳島県民歌

徳島県民歌（初代）

「徳島県民歌」は、かつて徳島県の初代県民歌として演奏されていた楽曲です。この歌は、作詞を金沢治、補作を富田砕花、作曲を服部良一が担当しました。

制定の経緯

1939年（昭和14年）、戦時下における県民の士気を高揚し、質実剛健で積極的な気風を奨励することを目的に、国民精神総動員徳島県委員会が歌詞を公募しました。審査の結果、当時県立美馬高等女学校の教諭であり、後に言語学者となった金沢治の作品が採用され、審査委員であった詩人の富田砕花が補作を加えました。その後、県の依頼により服部良一が作曲を手掛け、同年10月に発表会が開催されました。

日本コロムビアは、松平晃と二葉あき子のデュエットによるSPレコードを製造しました。レコードのB面には、作曲者である服部良一が編曲したインストゥルメンタル曲「躍進徳島県行進曲」が収録されています。

戦後の状況と代替わり

初代「徳島県民歌」は、中国・四国地方の9県においては、前年に制定された初代「愛媛県民歌」に次いで2番目に古い県民歌でした。しかし、他の県の楽曲と同様に、1945年（昭和20年）の太平洋戦争終結後は演奏される機会が減少し、県は長らく「戦前の歌であるため、現代の徳島県にふさわしい歌を検討中」としていました。そして、1971年（昭和46年）7月には、富士正晴作詞、三木稔作曲による現行の2代目「徳島県民の歌」が制定され、初代から正式に代替わりしました。

歌詞の改訂

本楽曲の歌詞と楽譜は、1970年（昭和45年）に刊行された『日本うたの地図』に掲載されています。その際、3番の歌詞の一節が、発表時の「新東亜 我等を招く」から「新日本 我等を開く」に改訂されています。

参考文献

岩村武勇『徳島県歴史写真集』（私家版、1968年）
国民文化協会『事典 シンボルと公式制度 日本篇』（国際図書、1968年）
西崎嘉太郎/日本青少年音楽教育センター 監修『日本うたの地図』（しなの出版）

関連項目

群馬県の歌 - 現行の3代目（1968年制定）は服部良一が作曲を担当しています。

外部リンク

徳島県師範学校学徒振励隊『浄魂』（国立国会図書館デジタルコレクション）
101-103ページに歌詞が掲載されています。

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