二葉あき子

二葉あき子について

生い立ちと教育

二葉あき子（ふたば あきこ、1915年2月2日 - 2011年8月16日）は、日本の著名な女性歌手で、広島市大須賀町二葉（現在の東区二葉の里）の出身です。彼女の芸名は、故郷の地名から取られています。本名は加藤芳江で、広島県立広島高等女学校を卒業後、1935年に東京音楽学校（現在の東京芸術大学音楽学部）を修了しました。

音楽学校在学中、彼女は増永丈夫の歌声に感動し、後の自己表現に影響を与えました。学業を終えた後は母校で教鞭をとる傍ら、教材向けのレコードを製作しました。こうした活動が後の音楽キャリアに繋がります。

デビューと成長

1936年、彼女はコロムビアに専属契約し、「愛の揺り籃」を皮切りに音楽キャリアをスタートさせました。「あの夢この夢」や「月に踊る」といった楽曲で注目を集め、1939年の映画『春雷』主題歌「古き花園」の大ヒットにより、人気歌手としての地位を確立しました。

彼女の音楽は、戦時中でも人々に慰めを与えるものであり続けました。さらには、ブルースのスタイルを取り入れた歌唱でも名を馳せ、多くのヒット曲を生み出しました。

私生活と試練

1943年には結婚し、息子をもうけましたが、結婚生活は長続きせず、離婚。その後はシングルマザーとして息子の成長に悩みますが、やがては息子が作った曲を孫のピアノ伴奏で歌うという幸福を得ることになります。

1945年の広島原爆投下時、彼女は帰郷のために汽車に乗っていました。トンネル内にいたため、被曝したものの直接の被害を免れました。そんな過酷な体験も、彼女の歌に影響を与えました。

音楽の再起

戦後の彼女は再び音楽シーンに戻り、「別れても」や「夜のプラットホーム」、「恋の曼珠沙華」などのヒットを次々に生み出しました。特に1950年の「水色のワルツ」は、美しいメロディーと共に多くの人々の心に残る名曲として親しまれました。また、日劇の舞台でも活躍し、同じ時代の歌手とも共演しました。

加えて、彼女は1951年から1959年にかけて、NHK紅白歌合戦に連続出場を果たし、その存在感を示しました。

高音の喪失と復帰

1955年前後には高音が出づらくなり、音楽活動に行き詰まります。精神的に苦しみ、一時は自ら命を絶とうとしましたが未遂に終わります。作曲家の服部良一に励まされ、彼女は低音発声法を模索しながら復帰を果たします。それ以降の彼女は、より豊かな音楽表現に向かいました。

栄光と晩年

1982年には紫綬褒章、1990年には勲四等瑞宝章を受章し、21世紀に入っても懐メロ歌手として多くの人々に愛されました。しかし、2003年にファンの集まりで引退を宣言し、その後は広島に帰郷しました。

彼女は2011年8月16日、広島で心不全のため亡くなりました。享年96歳。一時代を築いた彼女の死去により、初代紅白出場歌手の中で存命者は菅原都々子のみとなり、その偉大な足跡を遺しました。彼女の音楽と人生は、日本の音楽史において今も語り継がれています。

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