徳島藩主蜂須賀家墓所

徳島藩主蜂須賀家墓所

徳島藩主蜂須賀家墓所は、徳島県徳島市に位置し、江戸時代から明治時代にかけて徳島藩を治めた蜂須賀氏一族と、その重臣たちの墓所です。2002年（平成14年）9月20日に国の史跡として指定され、また、とくしま市民遺産にも選定されています。

概要

墓所は2つの主要な場所に分かれています。

興源寺墓所：下助任町の助任緑地内に位置します。
万年山墓所：佐古山町の諏訪山に位置します。

これらの墓所は、蜂須賀家の歴史と徳島藩の文化を今に伝える貴重な遺産です。

興源寺墓所

興源寺墓所には、蜂須賀家の初代である正勝から13代藩主斉裕までの墓が安置されています。元々、蜂須賀家の菩提寺は徳島城内にあった江岸山福聚寺でしたが、1586年（天正14年）に家政が下助任町に菩提寺を移し、2代忠英が1636年（寛永13年）に大雄山興源寺と改めました。墓所は寺院と築地塀で隔てて造営され、歴代藩主の墓が築かれました。ただし、家祖である正勝の墓のみは塀の外に位置しています。

8代宗鎮および10代重喜以降の藩主は、佐古山町の万年山墓所に埋葬されるようになり、興源寺墓所には遺髪のみを納めた拝み墓が建てられました。

現在、興源寺は規模が縮小し、かつての面影は薄れていますが、墓所は1985年（昭和60年）から徳島市によって整備され、助任緑地として一般に公開されています。

万年山墓所

1766年（明和3年）、10代藩主重喜によって眉山の北側に儒教式の墓所が造営されました。8代宗鎮の墓を興源寺墓所から移し、10代重喜から最後の藩主となる14代茂韶までの6人の藩主と、その妻子・親族ら67人の墓が安置されています。8代および10代から13代までの藩主は、儒教式墓と興源寺の仏教式拝み墓の両方を設けるという、全国的に見ても非常に珍しい形式となっています。

墓域は眉山の山頂から山麓の南佐古四番町に広がり、東は清林谷、西は巴蛇谷となっています。眉山の6合目には、「阿淡二州太守族葬墓域」と題した明和3年11月付けの碑があり、これは一般に「墓域の碑」と呼ばれています。

1971年（昭和46年）には、大阪府大阪市天王寺区にあった家祖・正勝の墓が万年山の頂上付近に移されました。

太平洋戦争前までは、旧家臣団によって維持管理が行き届いていましたが、戦後は管理者が減少し、藩主の墓は比較的良好な状態で保存されているものの、その他の一族の墓は荒廃が進んでいます。特に一族の墓は、1946年（昭和21年）の昭和南海地震で倒壊したままの状態となっています。徳島県は、国の史跡に指定されたことを機に、公有化と整備に向けて予算を計上し、藩主の墓を中心に墓碑周囲の玉垣の修復や平唐門の復元作業などが行われています。

墓石の倒壊と盗難

2001年には、蜂須賀正勝の墓石の一部が倒され、妻である松の墓石の一部が盗難に遭うという事件が発生しましたが、その後、修理・復元されました。

2024年2月15日には、再び蜂須賀正勝の墓石が倒れているのが発見され、文化財保護法違反の疑いで捜査が行われています。

参考文献

* 『蜂須賀家万年山墓所』 現地配布パンフレット

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