徳川宗睦

徳川宗睦：名古屋藩中興の祖

徳川宗睦（とくがわ むねちか/むねよし）は、江戸時代中期に活躍した尾張徳川家、名古屋藩の9代藩主です。その治世は「中興の祖」と称され、藩政の発展に大きく貢献しました。

生涯と藩政改革

宗睦は、8代藩主・徳川宗勝（当時は高須藩主で松平義淳と名乗る）の次男として生まれました。父と同様に優れた才能を持ち、山村良由や樋口好古といった有能な人材を登用し、藩政改革を積極的に推進しました。彼の改革は、新田開発や殖産興業、治水工事といった多岐にわたる分野で成功を収めました。

特に熱田での開墾事業は、名古屋の発展に大きく寄与しました。また、役人の不正を防止するために代官制度を整備し、農村支配を強化することで、確実な徴税を実現しました。さらに、父の時代に厳格化していた刑法を緩和し、藩士の相続制度を確立するなど、藩内の安定化に尽力しました。

文化面では、父の時代に基礎が築かれた藩校・明倫堂（現在の愛知県立明和高等学校）を創設し、藩全体の教育水準の向上に努めました。寛政9年からは、家臣からの政策提言を封書で受け付ける制度を導入し、広く意見を吸い上げることで、人心掌握を図りました。

晩年の課題と後世への影響

しかし、積極的な改革の反面、宗睦の晩年には藩の財政状況が悪化し始めました。その対策として藩札を発行しましたが、これが物価高騰を招き、経済の混乱を招いてしまいます。寛政11年（1799年）に67歳で亡くなりました。

宗睦は、藩政の前半から中期にかけて大きな成功を収めましたが、晩年の財政政策の失敗は、その後の名古屋藩の財政難の一因となりました。しかし、彼の功績は大きく、名古屋藩の「中興の祖」として、その名は長く語り継がれています。

後継者問題

宗睦には実子がいましたが、早世したため、美濃高須藩から養子を迎えるも、その養子とその子も相次いで亡くなりました。その後も養子を迎えますが早世が続き、最終的に徳川家斉の四男・敬之助を養子に迎えます。しかし、彼もまた早世したため、一橋治済の長男・斉朝を養子に迎えました。斉朝が宗睦の跡を継いだことで、徳川義直以来の男系血統は途絶えることとなりました。ただし、斉朝の母は二条治孝の娘であり、その祖母は徳川吉通の娘であるため、女系を通して尾張徳川家の血を引いています。

宗睦を演じた人物

西岡徳馬 - 殿さま風来坊隠れ旅

関連人物

徳川宗勝 (父)
徳川家斉 (養子・斉朝の父)
徳川斉朝 (養子)

関連史跡

小牧山 (墓石)
建中寺 (墓所)

宗睦は、名古屋藩の発展に大きく貢献した一方で、晩年の財政問題など課題も残しました。しかし、彼の功績は名古屋の歴史において重要な位置を占めています。

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