徳永寿昌

徳永寿昌：知略と武勇を兼ね備えた戦国武将

徳永寿昌（とくなが ながまさ）は、戦国時代末期から江戸時代初期にかけて活躍した、稀代の武将にして大名です。美濃国高須藩の初代藩主として、その名を残しています。生涯において、複数の有力な主君に仕え、数々の合戦を経験しました。その知略と武勇は、激動の時代を生き抜くための重要な武器となったと言えるでしょう。

若き日の仕官と賤ヶ岳の戦い

天文18年（1549年）、近江国で誕生した徳永寿昌は、若くして柴田勝家の養子、柴田勝豊に仕えました。天正11年（1583年）の賤ヶ岳の戦いでは、勝豊が羽柴秀吉に寝返ったため、寿昌も間接的に秀吉方に加わることになります。しかし、この時寿昌は勝豊の療養に付き従って上京していたため、戦闘には参加しませんでした。勝豊の死後、寿昌は秀吉の直臣となりました。

豊臣秀吉への仕官と朝鮮出兵

天正12年（1584年）の小牧の戦いに従軍した後、寿昌は豊臣秀次の家臣となり、尾張国と美濃国に2万石を与えられました。その後、加増され3万石の知行を得て、美濃高松城（松ノ木城）を居城としました。秀次の家臣として、近江国能登川の用水の整備にも携わった記録が残っています。

文禄年間には朝鮮出兵にも参加し、文禄2年（1593年）には朝鮮の金海に赴き、鍋島直茂の労をねぎらいました。文禄4年（1595年）には秀次が寿昌の京都の邸宅に滞在するなど、親密な関係を築いていたことが伺えます。しかし、同年7月の秀次切腹事件では連座を免れ、むしろ秀次の罪状を列挙したという逸話も残されています。秀次の処刑後、軟禁されていた秀次の妻子を預かり、処刑に立ち会ったとも伝えられています。その後、再び秀吉に仕えることになります。

秀吉の死と徳川家康への仕官

慶長3年（1598年）に秀吉が亡くなると、寿昌は徳川家康と前田利家から朝鮮に派遣され、講和交渉と軍の撤収に尽力しました。帰国後、秀吉の遺品である名刀・吉光を授かります。慶長4年（1599年）には、家康の伏見向島城警備にも携わり、家康への忠誠を誓いました。

関ヶ原の戦いでの活躍と高須藩の成立

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、東軍に属しました。家康から西軍への先手攻撃を命じられ、武勇を振るいます。寿昌は嫡男を家康のもとに残し、自ら戦場に向かいました。途中、家康の使者から、人質を取られている大名には自由な行動を許すとの通達を受け、恩義を感じて先鋒として奮戦。次男を人質として池田輝政に預けました。福束城、高須城の攻略などに活躍し、戦後は徳川家臣と共に戦功調査にも携わりました。その功績により、美濃国で2万石を加増され、5万600石を領する大名となりました。高須城を居城とし、高須藩初代藩主となりました。

死去

慶長17年（1612年）、64歳で死去しました。跡を嫡男の昌重が継ぎました。

まとめ

徳永寿昌は、主君への忠誠を貫き、幾多の合戦を生き抜いた稀代の武将でした。知略と武勇を兼ね備え、外交交渉にも手腕を発揮したその生涯は、戦国時代の激動を象徴するものです。彼の功績は、高須藩という藩の礎を築き、後世にまで語り継がれるものとなりました。

もう一度検索