徳永徹

徳永 徹 (とくなが とおる)

生涯

出生から修学期

1927年9月15日、東京で誕生した徳永徹は、父の転勤により浦和、鎌倉、横浜、そして長崎へと移り住みました。若い頃、県立長崎中学を卒業した後、第五高等学校へ進学しました。彼の学生生活は、その当時の歴史的背景を反映しており、1年次には第二次世界大戦が終結し、原爆が投下された後の廃墟となった長崎に戻りました。後に、九州大学医学部で学び、1952年に卒業、さらに大学院に進学します。1959年には博士課程を修了し、学位論文「ニトロフラン、ピロン、オメガ環状脂肪酸及びベンゾチアゾールなどの誘導体の抗菌作用に関する研究」を提出し、医学博士の称号を取得しました。

国立予防衛生研究所時代

徳永は国立予防衛生研究所（現在の感染症研究所）で勤務し、研究と診療の両方に力を注ぎました。彼は結核部長、細胞免疫部長、エイズセンター長、さらには同研究所の所長を歴任し、定年退官を迎えました。この間、彼の貢献は多岐にわたり、特にの研究成果は全国的に評価されました。

国立予防衛生研究所退任後

退任後、徳永は福岡女学院の院長及び理事長を務め、退任後は名誉院長の地位を引き継ぎました。また、福岡女学院看護大学では学長としても活躍しました。これらの役職を通じて、彼は教育と研究の促進に尽力し、多くの後進の指導にあたりました。

受賞・栄典

徳永は、その業績に対して数々の受賞歴があります。1997年には勲二等瑞宝章を受章し、正四位に叙されました。また、2011年度には高松宮妃癌研究基金学術賞を受賞しました。特に、がん研究における彼の貢献は大きく評価されています。

家族・親族

徳永の家族には興味深い背景があります。祖父の徳永規矩は伝道者であり、また、弟の徳永恂は哲学者として知られています。彼の家族は、さまざまな分野での活動を通じて、日本社会に貢献してきました。

研究内容・業績

彼の研究において特筆すべきは、がんの免疫療法に用いるBCG菌に関するもので、BCG活性化マクロファージによる効果についての発見でした。また、BCGから副作用の少ない水溶性有効成分の抽出を試み、その結果、MY-1と名付けられた核酸画分を見つけました。MY-1にはBCG菌体DNAが含まれ、これがインターフェロンの生成を誘導することが確認され、ナチュラル・キラー細胞やマクロファージを活性化し、強力ながん抑制効果を示すことが明らかになりました。その発見は、世界で初めてDNAの免疫増強効果の存在を示すものであり、これにより彼の業績は国際的にも知られることとなりました。さらに、彼はこの活性が脊椎動物や植物由来のDNAには認められないことを発見し、新たに多くの単鎖DNAを合成し、その活性中心をCGを基盤とする6塩基配列であることを突き止め、これをCGモチーフと名付けました。

著作

徳永は著書や共編著としても広く貢献しています。例えば、1994年に編纂された『がんと生体防御』や、同年に吉田彪・赤川清子と共編した『マクロファージ実験マニュアル』などが挙げられます。これらの著作は、彼の専門的な知識や研究成果を広く伝える重要な資料となっています。

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