徳田進

徳田進：国文学者としての足跡と多様な業績

徳田進(1907-1998)は、群馬県高崎市に生まれ、日本の国文学に多大な貢献を果たした学者です。高崎経済大学名誉教授という肩書きからもわかるように、その活動は教育機関との深い関わりの中で展開されました。

初期の経歴は、群馬県立高崎高等学校の前身である高崎中学校卒業、群馬師範学校専攻科卒業と続き、その後東京女子高等師範学校助教授を経て、東京文理科大学国文科選科を修了しています。これらの経験が、彼の人格形成と学問への道を決定づけたと言えるでしょう。

1945年9月には群馬師範学校教授に就任、1953年には高崎市立短期大学教授となり、1957年には同大学が改組され高崎経済大学となったことに伴い、教授としてその発展に貢献しました。1966年には高崎経済大学学長に就任し、大学運営にも手腕を発揮しています。1972年に退官し名誉教授となりましたが、その後も関東短期大学教授として教育活動を続けました。

その研究活動は近世文学に焦点を当て、数々の論文や著作を発表しています。1956年には「二十四孝の研究 特に近古近世の日本文学との交渉を中心として」という論文で東洋大学より文学博士号を取得、その研究成果は高く評価されました。

学術論文や専門書に加え、徳田進は晩年、童謡や童詩の創作にも取り組みました。「すすむ童詩」シリーズなど多くの作品を発表し、子供たちの心に響く詩作を通して、新たな表現の領域を開拓しています。これは彼の幅広い知性と豊かな感性を示すものであり、国文学者としての枠を超えた才能の一端を垣間見ることができます。

彼の業績を振り返ると、その多様さに驚かされます。近世文学研究における学術的な貢献、教育者としての後進育成、そして晩年の童謡・童詩創作と、それぞれの分野で顕著な成果を残しています。

主な著書には、『実践解明の読み方教育』『孝子説話集の研究 二十四孝を中心に』『頼山陽の社会経済思想 通議と新策の研究』『宮部万女の人と文学』『子供の詩と歌』『童詩童謡』など多数あり、これらの著作は、現在でも研究者や教育関係者の間で参照されています。また、兄である徳田浄氏も関東短大教授、息子である徳田武氏も明治大学教授として、学究の道を歩んだ一家としても知られています。

1978年には勲三等旭日中綬章を受章し、その功績は国家レベルでも認められました。1998年、肺炎のため逝去しましたが、彼の残した業績は、日本の国文学、そして教育界に大きな足跡として刻まれています。彼の多才さと、学問への情熱、そして子供たちへの温かいまなざしは、これからも多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

彼の生涯は、単なる学者のそれにとどまらず、教育者、詩人、そして時代の変遷を生き抜いた一人の人間としての物語でもあります。その豊かな人生経験と深い知性が、彼の著作や詩に息づいていることは疑いようがありません。

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