心意六合拳

心意六合拳（しんいりくごうけん）

心意六合拳は、中国武術の内家拳に分類される一派です。主に河南省に住むイスラム教徒（回族）の間で発展しました。（六合拳と呼ばれる武術は複数存在します。）

特徴

その技法は、以下の要素から構成されています。

十大形: 十種類の動物（龍、虎、猴、馬、鶏、鷂、燕、蛇、鷹、熊）の象形と意を表した単式拳
套路: 四把捶など（伝承されている套路は四把捶のみという派も多い）
* 武器術: 槍術、長梢子棍（大型のヌンチャク）、二節棍など

同じ回族系の八極拳と同様に、強大な発勁で知られています。

「六合」とは、「心と意・意と気・気と力」の内三合と「手と足・肘と膝・肩と股」の外三合を合わせたものです。

歴史

心意拳は大別して、河南省伝来の回族に起源のある派（心意六合拳）と、山西省の漢族に起源のある派（六合心意拳）に分かれます。両者は民族、思想、宗教などの違いを反映して独自に発展したため、現代では技法体系に相違する部分も多く見られます。

しかし、そのルーツは共に、山西省出身の武術家、姫際可が創始した心意拳に由来するとされています。姫際可は心意拳の創始後、優れた伝承者を探し求めましたが、姫の技を継承できたのは安徽省秋浦在住の曹継武ただ一人でした。

心意拳はこの曹継武から、回族の馬学礼と漢族の戴隆邦の二人に伝えられ、それぞれが現在の心意六合拳と六合心意拳へと独自に発展しました。

他の武術への影響

心意六合拳の古譜（古伝書）は、陳氏太極拳を伝承する陳氏一族にも伝来し、彼らは心意拳を研究し、その技を自分たちの拳に取り入れたとする説があります。心意拳の陰陽理論と技法が、元は少林拳系の一種であった陳氏の拳に革新をもたらし、太極拳の誕生を促したという研究者もいます。三三拳譜の存在も知られています。

日本への伝来

日本では無名だった心意六合拳を比較的早期に紹介したのは、上海出身の武術家、井継有(廬崇高派)であり、雑誌「武術」1987年7月号で「上海のケンカ拳法」というサブタイトルで特集が組まれました。また、松田隆智原作の漫画『拳児』において、主人公のライバルであるトニー・譚が使う必殺武術として劇画化されました。

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