心教

心教（しんきょう）

心教は、明治38年の1905年に、品田俊平によって創設された新しい宗教であり、神道の教えに基づいています。この宗教は、多くの著名な信者を抱え、繁栄を享受しましたが、第二次世界大戦を境にその姿を消しました。

沿革

品田俊平は、柏崎町にある比角尋常小学校を卒業した後、星野漢学塾で漢学を学び、その後仏教の修業を行いました。また、剣道の道場でも修行を重ねたとされます。その後の彼は、東京に出て様々な宗教や哲学の権威を訪ね、深い知識を身につけました。

1905年の3月21日、品田は霊示を受けたことにより、新たな使命を自覚し「この国を正し、世界を救う」という意志を持ちました。そして、翌日には柏崎町に心教の本部を設置し、開教を宣言しました。続いて、北越心理療院を4月に設立し、心教の活動を広げていきました。

1906年には本部と心理療院を長岡市に移転させ、様々な社会的支援事業を行うため、多くの貧困地域や孤児、不良少年を無償で受け入れる際に、教育と治療を提供しました。

さらに、1914年には本部を東京市に移し、心教心理療院と改名しました。この東京への移転をきっかけに、北海道から九州、さらには朝鮮半島や満洲、アメリカなどにまで支部を設立しました。1935年時点で、心教は広範なネットワークを持つ組織に成長しました。

1920年には、信者を増やすための「大宣伝運動」が行われ、数多くの名士がこの教えに賛同して信者となりました。1925年には東京で新たな本拠地を確保、その後1928年には富士湾の近くに広大な土地を購入し、心教の総本山「不二大和同園」の建設に着手しました。この場所は、品田が「世界の中心地点」を見つけたとされ、心教の重要な拠点として機能しました。

しかし、1935年に品田俊平が死去し、その後第二次世界大戦が勃発すると、心教は急速に衰退しました。戦争の影響で資源が不足し、1943年には多くの信者が去り、不二大和同園も無人となりました。

戦後の変遷

品田の死後、彼の後を継いだ聖平は東京都内で活動を続けましたが、心教自体はすでに衰退していました。戦後には不二大和同園が廃園となり、植林活動が行われることになりました。1996年、富士市による「富士市森林墓園」が造成されることが決まり、その際、文化財の調査や記録保存が実施されました。

調査の結果、かつての教団の名残である基礎や石灯籠、シンボルタワーなどが発見されましたが、その多くは霊園造成に伴い失われてしまいました。

教義

心教の教義は、「天地の大道を実行する教え」であると説明されています。品田の著作『心教 感化救済』によれば、心教は仏教や哲学などの統合であるとし、教えの核心には「宇宙の真理」があるとしています。また、教育勅語の重要性や人々の教義への理解が強調されています。

品田が亡くなる際には、彼が大本体に復帰したとされ、教団内でのその儀式は特別に執り行われました。心教は短い期間ながらも、深く人々の心に根付いた宗教だったことがわかります。

もう一度検索