志布志港

志布志港の概要

志布志港（しぶしこう）は、九州南部の鹿児島県の東側に位置する重要な港湾で、国内では中核国際港湾に指定されています。主に南九州地域、特に鹿児島県や宮崎県の畜産業向けの飼料輸入が盛んです。志布志湾の北端に位置し、本港地区、外港地区、若浜地区、新若浜地区の四つに分かれています。外港地区と若浜地区の間には前川が流れ、新若浜地区の西側には安楽川が存在します。

歴史的背景

この地域には天智天皇が訪れたという伝説が伝わっており、彼が布を献上したことから「志布志」という名前が生まれたと言われています。志布志港の初出は1316年（正和5年）で、倭寇の一拠点として利用された歴史があります。文禄・慶長の役では、島津氏の重要な港となり、江戸時代中期には薩摩藩の米の主要な積み出し港として繁栄しました。

1827年から1848年にかけて行われた財政改革により、琉球を経由した清国との密貿易が活発になり、港は繁栄を遂げました。しかし、明治時代に入ると開国に伴い、密貿易が禁止され、港の活気は失われました。

港湾整備の進展

1911年には港湾整備の計画が進み始め、1919年に正式に築港工事が着工されました。この工事では、従来の西側河口を開放し、東側の浜に岸壁を設ける形で近代的な港の構築が行われました。1931年に整備が完了し、その後、港は地方港湾に指定されました。1920年代から1930年代にかけて交通の要所となり、年間10万トン以上の貨物を取り扱う港へと成長しました。

1960年代には地域振興策の一環として、前川から安楽川にかけての埋立が行われ、重要港湾に指定されたのは1969年のことでした。この時期には、大型フェリーが運行を開始し、貨物取扱量も急増しました。

現在の志布志港

志布志港は1996年に九州で唯一の中核国際港湾に指定され、その後もコンテナ取扱量が増加しています。2009年には新若浜地区に大型国際海上コンテナターミナルがオープンし、2018年度には年間10万TEUを超えるコンテナを扱いました。また、重要な国際航路も整備され、商船三井の「さんふらわあ」が運行されるなど、旅客航路の発展も進んでいます。

志布志港は国内外の交流の拠点として、地域経済を支える重要な存在であり続けています。航路の多様性や港湾の歴史的な背景は、今後の発展に向けた重要な要素となるでしょう。歴史、文化、経済が交差する志布志港は、今後も注目される港の一つです。

参考文献

• - 志布志町編・発行 『志布志町誌　上巻』 1972年
• - 志布志町編・発行 『志布志町誌　下巻』 1984年

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