志摩三商会

志摩三商会

志摩三商会は、幕末から明治維新にかけて、三田藩が藩政改革の一環として設立した貿易商社です。藩主の九鬼隆義は、西洋式兵制の導入など、時代の変化に対応するための改革を推進しました。その中で、慶應義塾で学んだ元家老の白洲退蔵を中心に、神戸で外国薬品などを扱う貿易商社として志摩三商会が設立されました。

設立の背景

三田藩は当初佐幕派でしたが、次第に薩長派へと転じ、討幕を標榜するようになります。藩医の川本幸民は、藩政改革の中心として洋学校の設立を推進し、福澤諭吉を藩主の九鬼隆義に紹介しました。福澤諭吉は、洋学校の運営に助言を与え、洋書や機械類の調達にも協力しました。また、福澤諭吉は九鬼隆義に『世界国尽』を贈呈するなど親交を深め、三田藩は前田泰一、武藤敬蔵、澤茂吉、川面弘、九鬼隆一などを慶應義塾で学ばせました。

設立と事業展開

明治6年（1873年）3月、九鬼隆義は福澤諭吉の助言に従い、小寺泰次郎、白洲退蔵らと共に、外国の医薬品を中心に食料品、雑貨、薬種などを販売する輸入商社、志摩三商会を設立しました。しかし、白洲退蔵の横浜正金銀行への転進や支配人の交代などがあり、明治25年（1892年）に九鬼家に返納されました。

慶應義塾との関係

福澤諭吉は、志摩三商会が九鬼家に返納された後も、九鬼家に対して特別な配慮を続けました。また、慶應義塾の創設においては、九鬼家からの大きなバックアップがあったとされています。これは、福澤諭吉と三田藩、特に九鬼家との深い関係を示しています。

主な社員

白洲退蔵
前田泰一
村上俊吉

参考文献

第27回:慶應義塾出版局の活動
『福沢諭吉の手紙』 2004年 岩波文庫 ISBN 4003310268
“社中の心『三田の福澤先生と三田の九鬼藩主』”. 神戸慶応倶楽部. 2016年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月2日閲覧。
勝尾金弥『「七一雑報」を創ったひとたち』創元社、2012年

関連項目

慶應義塾

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