志賀 (海防艦)

海防艦「志賀」の概要

「志賀」は日本海軍の海防艦であり、鵜来型海防艦の21番艦にあたります。その名は福岡県の志賀島に由来しています。志賀は太平洋戦争での活動を経て、戦後には掃海艦としての新たな使命を果たしました。その後、運輸省の定点観測船、さらには海上保安庁の巡視船と、変遷を重ねた末に千葉市の海洋公民館として利用されることとなりました。

艦歴の詳細

「志賀」は、1944年11月25日に佐世保海軍工廠で起工し、1945年2月9日に進水しました。そして同年3月20日に竣工し、佐世保鎮守府に所属することとなります。訓練を経た志賀は、沖縄出撃に向かう第二艦隊の一部として活動し、敵潜水艦の撃沈を模索する任務に従事しました。訓練の中では、豊後水道南部で敵に関連する動きが確認され、爆雷攻撃と水上偵察機との協力によって敵潜水艦の撃沈が判断される一幕もありました。

志賀はその後、舞鶴海軍工廠での機銃増強工事を終え、対馬海峡の対潜哨戒任務に従事しました。終戦時は浅海湾に所在し、戦後は佐世保へ回航されます。1945年11月30日には海軍省が廃止された影響で除籍されました。

戦後の活動と変遷

横須賀地方復員局の管轄下、1945年12月から「掃海艦」として定められた志賀は、数々の改装を経て、特別輸送艦としても機能しました。1947年からは米陸軍の連絡船として博多と釜山を結ぶ航路に就航しましたが、廃止後は保管船に指定されます。

さらに、1950年には中央気象台の定点観測船「志賀丸」として気象観測に従事し、様々な役割を果たしました。1954年には海上保安庁に編入され、巡視船「こじま」としての任務につきます。ここでの活動では、海上保安大学校の練習船として、学生の実習航海にも活用されました。

千葉市での海洋公民館

1965年には、千葉県千葉市に払い下げられ、海洋公民館として利用されることが決まりました。改装工事を経て、1966年5月に「千葉市海洋公民館」として開館しました。当初は海岸の岸壁に接していましたが、その後の埋立てにより公園の池に浮かぶ形になりました。

しかし、1993年に建築基準法に適合しないことが判明し、1997年には閉館となります。1998年には解体が決定され、海洋公民館としての役割を終えました。その後、部品の一部は各所で展示されることになります。

後世の影響と保存

志賀は、日本の海軍艦艇の中でも最後の生き残りとして親しまれました。また、海上保安大学校の資料館においても、志賀の歴史的な価値を伝えるために一部が保存されています。

このように、海防艦「志賀」はただの軍艦としてではなく、時代と共に変化し続ける歴史的な存在であり、今後もその足跡が語り継がれることが期待されています。

もう一度検索