快楽亭ブラック (初代)

初代快楽亭ブラックについて

初代快楽亭ブラック（かいらくてい ぶらっく）は、1858年にアデレードで生まれた落語家であり、西洋奇術師や講釈師としても知られる人物です。彼は英国家系の家庭に生まれ、後に日本に帰化しました。彼の本名はヘンリー・ジェイムズ・ブラックでしたが、日本の名前は石井 貌剌屈（いしい ぶらつく）に改められました。

幼少期からの経歴

ブラックはスコットランド系の血を引き、彼の家族は代々海軍や陸軍の軍人でした。1865年、彼はアジアへと赴く歌手として来日し、その後、日本に残ることを決断します。父の影響を受け、落語や講談に興味を持ち始めました。18歳の時には、日本に残り、西洋奇術を披露する道を選びました。

1876年に奇術師三代目柳川一蝶斎の一座に参加し、西洋手品を行いました。当時の彼の活動は、浅草や日本橋など多岐にわたり、多くの観客を魅了しました。

落語家としての活動

1878年に再来日したブラックは、講談師の2代目松林伯圓に誘われ、政治演説を行い始めます。同年、正式に伯圓の弟子となり、「英人ブラック」と名乗りました。その後、1880年には、政府に許可を得て寄席に出演し始めます。

ブラックは、1884年に三遊派に参入し、その活動は多岐にわたりました。1891年に「快楽亭ブラック」と名乗り、日本人女性の石井アカとの結婚を通じて、日本国籍を取得しました。この国際結婚は大きな話題を呼びました。

多才な芸人としての活躍

ブラックは、ただの落語家にとどまらず、多くの短編小説を書いたり、自作の噺を創作するなど、多彩な才能を持つ芸人として活躍しました。彼は、青い目ですらすらとべらんめえ調を操り、多くのファンを魅了しました。高座では手品を披露したり、歌舞伎の舞台にも飛び入り参加するなど、ジャンルを超えた表現を行っていました。

1896年には、日本で初めて催眠術の実演を行うなど、常に新しい挑戦を続けました。また、1903年には日本初のレコード録音に関与し、多くの名人たちの声を残しました。

晩年とその辞世

しかし、1907年には人気が衰退し、1908年には自殺未遂を起こすなど、晩年は波乱に満ちたものでした。1914年からはイギリスのマジック雑誌に日本の奇術について連載を始めるなど、最後まで精力的に活動していました。1933年、彼は64歳で脳卒中により死去しました。

影響と後世の評価

快楽亭ブラックの功績は、その多才さにあります。落語のみならず、演芸全体に多くの影響を与えた彼の存在は、現代においても色濃く残っており、今後も語り継がれていくことでしょう。彼の活躍は、日本のエンターテインメントの歴史に深く刻まれています。

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