急性中耳炎

急性中耳炎について

急性中耳炎は、中耳に細菌が感染して起こる炎症です。この疾患は一般的に中耳炎として知られており、特に乳幼児に多く発症します。以下では、急性中耳炎の原因、症状、診断方法、治療法、合併症、予後について詳しく解説します。

原因

急性中耳炎の原因となる細菌が中耳に感染する経路は主に3つあります。

経耳管性

中耳は耳管を通じて咽頭と繋がっていますが、鼻腔や上咽頭に細菌感染が起きると、そこから細菌が耳管を経由して中耳に到達します。特に乳幼児では耳管が短く太いため、感染が起こりやすい傾向があります。5歳以下では、インフルエンザ菌が主な起炎菌であり、それ以降は溶血性連鎖球菌や肺炎球菌が多く見られます。

経外耳道性

通常、外耳道と中耳は鼓膜によって隔てられていますが、鼓膜に穴が開く（鼓膜穿孔）ことで細菌が直接中耳に侵入することがあります。また、鼓膜が感染すると、その炎症が中耳に波及することもあるため注意が必要です。

血行性

まれに、猩紅熱やジフテリア、インフルエンザなどの全身性感染症により、血液を介して細菌が中耳に感染することもあります。この場合は、一般的な中耳炎に比べて重症化するリスクが高まります。

症状

急性中耳炎の主な症状には耳の痛み、発熱、そして伝音性難聴が挙げられます。また、耳鳴りや耳漏も見受けられます。診断時には鼓膜が充血していることが多く、重症の場合は鼓膜が穿孔することもあります。

診断

急性中耳炎の診断は、患者の主観的な症状に加え、鼓膜の所見をもとに行われます。耳鼻科医による詳しい耳の検査が必要です。

治療

治療においては、まずは安静にし、抗生物質や消炎鎮痛剤を使用します。また、鼓膜が膨隆している場合や耳の痛みが強いときには、鼓膜を切開して膿や分泌物を取り除くことがあります。その後、抗生物質を耳の中に点耳することもあります。なお、小児急性中耳炎に関しては治療ガイドラインも存在し、それに基づいて治療が行われることが望ましいです。

合併症

急性中耳炎は、まれにさまざまな合併症を引き起こすことがあります。

内耳炎

ごくまれに内耳炎を合併することがあり、これにより感音難聴（神経障害による難聴）やめまいを体験することがあります。この場合、予後が悪いことが多いです。

乳様突起炎

急性中耳炎の感染が周囲の乳様突起に波及して乳様突起炎を引き起こすリスクもあります。

予後

急性中耳炎は多くの場合、適切な治療によって完全に治癒します。しかし、人によっては慢性中耳炎に進行したり、頭蓋内の合併症を引き起こすこともあるため、注意が必要です。

急性中耳炎は乳幼児に特に多く見られる疾患であり、早期に発見し適切な治療を行うことで、合併症のリスクを低減することが可能です。

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