急性出血性結膜炎

急性出血性結膜炎について

急性出血性結膜炎は、ガーナに起源を持つ目の感染症で、特にエンテロウイルス70やコクサッキーA24変異株によって引き起こされます。この感染症は別名「アポロ病」とも呼ばれ、1969年には大規模な流行が発生しました。

症状

1969年の流行では、結膜が出血し、眼球が赤く腫れる症状が見られたほか、眼痛や頭痛、発熱を伴うこともありました。また、一部の患者では小児麻痺のような筋力低下がみられ、後遺症が長引く場合も報告されています。しかし、その後のウイルスの変異により、最近のケースでは結膜下出血の症状は稀であり、主にアデノウイルスによる流行性結膜炎に類似した経過を辿ることが一般的です。この場合、症状が現れてから約1週間で自然に治癒することが多くなっています。

病原体と流行の背景

この感染症の主な原因となる病原体は、エンテロウイルスEV70およびコクサッキーウイルスCA24vです。日本人の研究者によってEV70が原因ウイルスとして確認され、このウイルスは非常に高い感染力を持っています。特効薬や予防法がその当時開発されていなかったため、広がりが危惧されましたが、日本のような優れた生活環境では大規模な感染は珍しいとされています。それでも、一部の地域では集団感染が報告されていることから、注意が必要です。

アポロ病の由来

1969年夏にはアメリカのアポロ11号の月面着陸が注目されており、その興奮のさなかに急性出血性結膜炎が流行しました。当時、月に微生物やウイルスが存在しないことが確認されていなかったため、帰還した宇宙飛行士は感染症の検査や経過観察を受けることになりました。この流行と飛行士の帰還のタイミングが重なったため、「アポロ11号が病原体を持ち帰ったのではないか」という噂が立ち、これが「アポロ病」として普及しました。

参考文献

急性出血性結膜炎に関する研究や情報源には、以下のような文献があります。

• - 中川尚『エンテロウイルス結膜炎』 臨床眼科 Vol.57 (11), 2003
• - 青木功喜他『急性出血性結膜炎』 臨床眼科 Vo.64 (1), 2010
• - 国立感染症研究所『急性出血性結膜炎 感染症の話』 2002年第33週号

このように、急性出血性結膜炎は高度に感染する病気であり、流行時には多くの人々の生活に影響を与えかねません。適切な予防策を講じることが重要です。

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