恋と国会

恋と国会

『恋と国会』は、西炯子による日本の青年漫画作品です。週刊ビッグコミックスピリッツ（小学館）にて2018年から連載が開始されました。この作品は、国会を舞台に、地下アイドル出身の新人議員である山田一斗と、世襲政治家の海藤福太郎という、全く異なるバックグラウンドを持つ二人の恋模様を軸に物語が展開されます。

あらすじ

物語は、内閣総理大臣経験者を父に持つ新人国会議員、海藤福太郎が初登院の日に、国会議事堂前でかつて街角で出会った女性と再会するところから始まります。その女性は山田一斗といい、福太郎と同じく初当選した新人議員でした。地下アイドルから政治家に転身した一斗は、初日から常識外れの行動を連発し、それを見かねた福太郎は、成り行きで彼女の面倒を見る羽目になります。

登場人物

山田 一斗（やまだ いっと）：本作の主人公の一人。東京1区選出の衆議院議員で、所属政党は与党の大国民党。25歳。元地下アイドルという異色の経歴を持ち、政治に関しては全くの素人。明るく真っ直ぐな性格で、国民が日本を「まあまあいい国」と思えるようにしたいと政治の世界に飛び込みました。
海藤 福太郎（かいとう ふくたろう）：本作のもう一人の主人公。神奈川15区選出の衆議院議員で、所属政党は大国民党。25歳。内閣総理大臣経験者を父に持つ世襲議員で、政界の裏も表も知り尽くしている。一斗とは議員になる前から因縁があり、当選後も彼女の世話を焼いています。
剣崎 速人（けんざき はやと）：北海道6区選出の衆議院議員。所属政党は野党のみんみん党。29歳。司法試験と医師国家試験に合格した経歴を持つ。同期当選の一斗に興味を持ち、彼女や福太郎と交流を深めていきます。
大黒 栄介（おおぐろ えいすけ）：大国民党総裁で内閣総理大臣。自身の汚職疑惑で衆議院を解散し、その後の総選挙で勝利を収めます。
手嶋 賢介（てじま けんすけ）：大国民党幹事長。首班指名選挙での一斗の行動を注意します。
尾金 有人（おかね あると）：現職外務大臣。大国民党の最大派閥「尾金派」のトップで、次期総裁候補と目されています。

作品の特徴

『恋と国会』は、政治の世界を舞台にしたラブコメディでありながら、国会に関する情報を盛り込み、政治の仕組みをわかりやすく解説しています。特に、一斗が政治について全くの素人であるという設定から、読者は彼女の視点を通して政治の世界を学ぶことができます。また、世襲議員である福太郎が抱える葛藤も描かれており、政治家の多面的な姿を捉えている点も特徴です。

作者の西炯子は、主に少女漫画雑誌で作品を発表してきた漫画家であり、本作にも少女漫画の要素が取り入れられています。しかし、青年漫画雑誌での連載ということもあり、政治家や政治秘書経験者、ジャーナリストなど、多くの関係者への取材に基づいて政治がリアルに描かれています。

一斗と福太郎のキャラクター設定は、まず庶民的なキャラクターとして一斗を創造し、その後、「差」のある男女が惹かれ合うという少女漫画のセオリーから、一斗と対照的な福太郎が生まれました。また、二人の所属政党が与党である理由は、「権力の中枢に潜り込まないと物事は変えられない」という作者の考えに基づいています。

制作背景

本作の原案は「女の子が総理大臣になる話」でした。西は当初、小学館の女性向け漫画雑誌『月刊フラワーズ』での連載を考えていましたが、政治を題材にした漫画は女性読者に避けられるという反対に遭いました。その後、『週刊ビッグコミックスピリッツ』編集部から声がかかり、同誌での連載が実現しました。掲載誌の変更に伴い、作品のアプローチも変化しました。原案では政治は恋物語の「味付け」程度でしたが、青年誌の読者は知識を得ることに価値を感じるという編集者のアドバイスから、政治をしっかりと描いた上で恋物語を展開する方針に切り替えられました。

書誌情報

西炯子 『恋と国会』 小学館〈ビッグコミックス〉、既刊1巻（2019年11月29日現在）

* 2019年12月4日初版第1刷発行（2019年11月29日発売）、ISBN 978-4-09-860399-2

脚注

注釈

出典

小学館公式サイト

以下の出典は『小学館公式サイト』内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。

外部リンク

恋と国会 - ビッグコミックBROS.NET

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