恋物語 (西尾維新)

恋物語

『恋物語』は、西尾維新による小説作品であり、〈物語〉シリーズの第9弾として2011年12月に講談社BOXレーベルから刊行されました。イラストはVOFAN氏が担当しています。

概要

本作は、大ヒット作『化物語』の続編となる〈物語〉シリーズ・セカンドシーズンの最終巻です。物語は「ひたぎエンド」と題され、『化物語』のメインヒロインである戦場ヶ原ひたぎと、『囮物語』の主人公である千石撫子という、二人の少女の恋の物語に終止符が打たれます。時系列としては、『囮物語』から2ヶ月後の1月から2月が舞台となっています。

特筆すべきは、本作の語り部が戦場ヶ原ひたぎではなく、前作『鬼物語』で予告されていたものの、実際には『偽物語』で敵役だった詐欺師・貝木泥舟が務めている点です。貝木は冒頭で自らを信頼できない語り手と宣言し、物語の内容が虚実入り混じったものであることを示唆しています。

パッケージイラストには、ニット帽とマフラーを身につけた戦場ヶ原ひたぎが線路の間に立つ姿が描かれており、印象的です。また、プロモーション活動として、電車内広告や主要駅での巨大看板設置、アニメCMなどが展開されました。

当初、本作でセカンドシーズンが完結すると思われていましたが、実際には多くの謎が残り、その後のファイナルシーズンへと物語は続いていきます。

販売部数は発売から3週間で約20万部を記録し、オリコンランキングでも2週連続1位を獲得するなど、大きな人気を博しました。

あらすじ

ひたぎエンド

11月、千石撫子は蛇神と化し、阿良々木暦を殺そうとします。それに対し、恋人の戦場ヶ原ひたぎは、自分の命と引き換えに暦を助けて欲しいと懇願。4ヶ月の猶予を得て、2ヶ月後の1月1日、ひたぎは一つの決断をします。かつて騙した少女、戦場ヶ原ひたぎから電話を受けた詐欺師・貝木泥舟は、彼女からの「誰かを騙してほしい」という依頼を最初は断ろうとしますが、結局会うことに。騙す相手は蛇神となった千石撫子。彼女は卒業式にひたぎと暦を殺すと予告しており、残された74日間で何とか撫子を騙し、二人の命を救って欲しいという依頼でした。かつて怪異の専門家である忍野メメも行方不明で、藁にもすがる思いで貝木に依頼したのでした。気が進まないながらも依頼を引き受けた貝木は、詐欺師としての腕を振るい、撫子を騙すための計画を始めます。

ひたぎサラマンダー

物語の合間に、貝木は戦場ヶ原ひたぎとレイ・ブラッドベリの『華氏451度』について語り合います。その中で、貝木はひたぎが持つ熱い恋心に気づくのでした。

登場キャラクター

貝木 泥舟（かいき でいしゅう）
本作の主人公。かつて戦場ヶ原家を離婚に追い込んだ詐欺師。ひたぎの依頼で撫子を騙すことに。

戦場ヶ原 ひたぎ（せんじょうがはら ひたぎ）
本シリーズのメインヒロイン。過去に奇病に苦しんだ経験を持つ。恋人の暦を守るため、貝木に依頼。

阿良々木 暦（あららぎ こよみ）
ファーストシーズンの主人公。ひたぎの恋人であり、撫子に命を狙われている。

千石 撫子（せんごく なでこ）
『化物語』に登場した少女。蛇神と化し、暦とひたぎを殺そうとしている。

羽川 翼（はねかわ つばさ）
暦やひたぎのクラスメイト。忍野メメを探すために一時帰国し、貝木と会う。

斧乃木 余接（おののき よつぎ）
影縫余弦の式神の童女。今回は横ピースをする。

書籍情報

タイトル: 『恋物語』
著者: 西尾維新
イラスト: VOFAN
出版社: 講談社
レーベル: 講談社BOX
発売日: 2011年12月21日
ISBN: 978-4-06-283792-7

テレビアニメ

2013年7月から放送されたテレビアニメ『〈物語〉シリーズ セカンドシーズン』の中で、「ひたぎエンド」が他の5作品と共に放送されました。

外部リンク

講談社BOX：西尾維新＜物語シリーズ＞公式サイト
化物語オフィシャルサイト
アニメ＜物語＞シリーズ セカンドシーズン 公式サイト

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