鬼物語

『鬼物語』は、西尾維新による小説〈物語〉シリーズの第8弾として、2011年9月に講談社BOXレーベルから刊行されました。イラストはVOFANが担当しています。本作は、大ヒット作『化物語』の続編となる新章（セカンドシーズン）の第5弾であり、副題は「しのぶタイム」です。

概要

『鬼物語』では、『傷物語』に登場した吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード、後の忍野忍の過去が語られます。400年前、日本にやってきたキスショットが妖刀「心渡」を入手した頃のエピソードが描かれています。しかし、物語の中心となるのは、迷子の少女、八九寺真宵に関する出来事です。表紙にはメリーゴーラウンドに乗る忍が描かれています。

時系列としては、『囮物語』より少し前の時間軸に戻り、『傾物語』直後の8月21日から物語が始まります。二学期が始まり、阿良々木暦と忍の行動が描かれます。久しぶりに暦が語り部を務め、シリーズの特徴である掛け合いやメタフィクション的なギャグシーンも多数盛り込まれています。セカンドシーズンは、次作『恋物語』で完結します。

発売部数は、2011年9月28日から10月24日までの累計で約17万部を記録しました。

あらすじ

8月21日、阿良々木暦と吸血鬼の忍野忍は、八九寺真宵を助けるための夏の冒険を終え、帰ってきました。二学期初日をサボった暦は、真宵と出会い、楽しい時間を過ごします。真宵に忘れ物を返そうとした時、謎の「くらやみ」が現れます。暦は本能的な危機を感じ、真宵を連れて逃走しますが、その正体不明の存在に追い詰められます。間一髪のところで斧乃木余接に助けられ、3人は学習塾の廃墟に逃げ込みます。

そこで、暦と余接は「くらやみ」の正体について議論しますが、結論は出ません。そんな中、暦の影に潜んでいた忍が目を覚まし、「くらやみ」について語り始めます。それは、忍がかつて「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」と呼ばれていた頃、400年前に経験した事件と深く関わっていたのです。

登場キャラクター

阿良々木暦（あららぎこよみ）
声 - 神谷浩史
本作の主人公であり、久しぶりに語り部を務めます。私立直江津高校の3年生で、春休みに吸血鬼を助けたことがきっかけで、その吸血鬼のパートナーとなりました。母の日に道に迷っていた八九寺真宵を助け、友達になりました。

忍野忍（おしのしのぶ）
声 - 坂本真綾
本作の副題にもなっている吸血鬼。現在は力を奪われ、8歳ほどの幼女の姿をしていますが、本来は500年を生きる怪異の王です。普段は暦の影の中で眠っています。本来は美しい成人女性の姿で、「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」という真名を持っていました。全盛期には、南極から日本へ跳躍するほどの桁外れの能力を持っていました。

八九寺真宵（はちくじまよい）
声 - 加藤英美里
11年前の母の日に交通事故で死亡して以来、母親の家を探し続けている蝸牛の怪異「迷い牛」の少女です。3ヶ月前に暦たちに助けられ、怪異から解放されました。

斧乃木余接（おののきよつぎ）
声 - 早見沙織
暴力陰陽師・影縫余弦に仕える式神の童女。外見は12歳ほどですが、強力な怪異としての力を持っており、「例外のほうが多い規則（アンリミテッド・ルールブック）」という技を使います。

初代怪異殺し
400年前にキスショットと出会った武士。妖刀「心渡」と「夢渡」を所持し、妖怪変化を退治することを生業としていました。キスショットの最初の眷属となった人物ですが、忍は彼の名前を覚えておらず、便宜上「怪異殺し」と呼んでいます。

臥煙伊豆湖（がえんいずこ）
声 - ゆきのさつき
怪異の専門家で、忍野メメや貝木泥舟の大学時代の先輩にあたる若い女性。服装は若々しく、暦は20代後半くらいだと思っていますが、実際の年齢は不明です。野球帽を横向きにかぶり、大きめの服をだるだるに着ています。スマートフォンを複数台所有しています。

忍野扇（おしのおうぎ）
声 - 水橋かおり
12月頃に直江津高校に転校してきた1年生の女子生徒。忍野一族が代々受け継ぐ由緒正しい仕事をしていると語ります。

書籍情報

著者: 西尾維新
イラスト: VOFAN
タイトル: 『鬼物語』
レーベル: 講談社BOX
初版発行: 2011年9月28日
発売日: 2011年9月29日
ISBN: 978-4-06-283781-1

テレビアニメ

2013年7月より放送されたテレビアニメ『〈物語〉シリーズセカンドシーズン』にて、本作の「しのぶタイム」が他の5作品と共に放送されました。

外部リンク

 講談社BOX：西尾維新＜物語シリーズ＞公式サイト
化物語オフィシャルサイト
アニメ＜物語＞シリーズセカンドシーズン公式サイト

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