恒久王妃昌子内親王

恒久王妃 昌子内親王：波乱の生涯と社会貢献

昌子内親王は、明治天皇の第六皇女として1888年（明治21年）に誕生しました。母は園祥子です。多くの兄弟姉妹が夭折したため、事実上の長女として成長しました。妹の房子内親王と共に高輪御殿で幼少期を過ごし、佐佐木高行夫妻をはじめとする優れた教育者らに囲まれて教育を受けました。特に佐佐木夫妻とは深い信頼関係を築き、生涯にわたる温かい交流を続けました。

日露戦争が勃発した1904年（明治37年）、昌子内親王は妹と共に、全戦没者の氏名と没地を記した名簿を自筆で作成し、御殿に祀りました。その後、この名簿は靖国神社に奉納されました。この行為は、戦争の悲惨さを深く理解し、犠牲者への深い哀悼の念を表したものでした。

1908年（明治41年）、昌子内親王は竹田宮恒久王と結婚しました。結婚式は、赤坂離宮の設計者としても知られる片山東熊が設計した高輪の邸宅で行われました。この邸宅は後に西武グループに売却され、高輪プリンスホテルの一部として現在も残っています。

結婚後、昌子内親王は恒徳王と禮子女王の2人の子供をもうけました。しかし、1919年（大正8年）、夫の恒久王がスペイン風邪で急逝するという悲劇に見舞われます。

夫を亡くした昌子内親王は、幼い恒徳王と宮家を支えるため尽力しました。同時に、婦人共立育児会総裁や東京慈恵会総裁として、社会事業にも積極的に取り組みました。満州事変の際には、身分を明かさず傷病兵を慰問するなど、深い慈悲心と社会への貢献を示しました。

昌子内親王の社会貢献は、宮家にとどまりませんでした。久邇宮朝融王の婚約破棄事件においては、毅然とした態度で発言し、皇室の伝統と秩序を守る姿勢を示しました。また、神奈川県の走水神社には、弟橘媛に関する歌碑を建立しました。さらに、平塚八幡宮では社殿の前に松を植樹し、神池に緋鯉を放生するなど、地域社会への貢献も果たしました。

2010年（平成22年）、竹田恒正氏によって、昌子内親王が所持していた雛人形と雛道具92点が根津美術館に寄贈されました。これらの雛人形は、結婚時に持参した有職雛と、明治天皇と昭憲皇太后から贈られた雛道具で構成されています。江戸時代の伝統に基づいた格調高い雛人形と、精巧な漆器の雛道具は、当時の高い技術力と美意識を物語っています。

1940年（昭和15年）、昌子内親王は薨去しました。生涯を通じて、皇族としての品格と、慈悲深い心、社会貢献への強い意志を示した昌子内親王の生涯は、日本の歴史において重要な位置を占めています。その功績は、後世にわたって語り継がれるべきものです。

年表

1888年（明治21年）9月30日：誕生
1908年（明治41年）4月30日：竹田宮恒久王と結婚
1909年（明治42年）3月4日：恒徳王誕生
1910年（明治43年）6月5日：弟橘媛命記念碑建設
1919年（大正8年）4月23日：恒久王薨去
1940年（昭和15年）3月8日：薨去

系図

(系図は、本文からは省きますが、必要であれば別途作成可能です。)

栄典

* [1908年]]（明治41年）4月29日：勲一等[[宝冠章]

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