恒春郡

恒春郡（こうしゅんぐん）

恒春郡は、日本統治時代の台湾に設置された地方行政区画の一つです。高雄州の管轄下に置かれ、現在の屏東県南部に相当する地域を統治していました。

概要

郡役所は恒春街（現在の恒春鎮）に設置され、行政の中心地でした。恒春郡は、恒春街のほか、車城庄（現在の車城郷）、満州庄（現在の満州郷）、そして「蕃地」と称された地域を管轄していました。「蕃地」とは、当時の行政区分において、原住民が居住する地域を指す名称でした。

恒春郡の領域は、現在の屏東県における恒春鎮、車城郷、満州郷、牡丹郷といった地域に相当します。これらの地域は、台湾最南端の地域であり、豊かな自然と独特の文化が育まれてきました。

行政区画の変遷

1945年3月、第二次世界大戦末期に、重慶国民政府によって台湾接管計画綱要地方政制が策定されました。この計画の中で、恒春郡の区域をもって恒春県を設置するという案が提示されました。しかし、この政制は施行されることなく廃止され、恒春県としての成立は実現しませんでした。

歴代郡守

恒春郡では、以下の人物が郡守を務めました。

齋藤永治
城戸彦市
西澤時蔵
大村廉吉
西村吾六
富永藤平
樋口要司
高山仙七
水崎格：1936年12月 -
西元坂一：1925年1月 -
川松鍵三：1941年6月 -
唐澤鹿男：1942年8月 -
今井助雄

これらの郡守たちは、恒春郡の行政運営に携わり、地域の発展に尽力しました。それぞれが、当時の社会情勢や政策の中で、重要な役割を担いました。

脚注

恒春郡に関する情報は、以下の文献にも詳しく記載されています。

太田肥州 編『新台湾を支配する人物と産業史』台湾評論社、1940年。
興南新聞社 編『台湾人士鑑』呂霊石、1943年。

これらの文献は、当時の台湾社会の状況や、恒春郡における具体的な行政運営について知る上で、貴重な資料となります。

関連項目

恒春郡が位置する地域を舞台にした映画として、以下の作品が挙げられます。

海角七号 君想う、国境の南|海角七号_君想う、国境の南

この映画は、台湾の美しい風景と人々の情感を描き出し、広く知られることとなりました。恒春郡が存在した地域の歴史や文化に触れる上で、この映画は良いきっかけとなるでしょう。

恒春郡は、日本統治時代の台湾における地方行政の一つの側面を象徴する存在であり、その歴史は、現代の台湾社会にも深く影響を与えています。

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