恒松制治

恒松制治の生涯

恒松制治（つねまつ せいじ）は、1923年1月21日に島根県大田市で生まれ、2011年7月23日に88歳で亡くなった日本の経済学者、政治家です。島根県知事を3期務めたほか、獨協大学学長も歴任しました。また、戦国時代の武将である立原久綱の末裔にあたります。

生い立ちと学歴

恒松は武蔵高等学校を経て、京都帝国大学経済学部を卒業しました。その後、農林省（現在の農林水産省）に入省し、農業経済の研究に携わりました。

研究者、教育者としての活動

1958年、恒松は学習院大学経済学部の教授に転じ、教育者としてのキャリアをスタートさせました。経済学の研究と教育に尽力し、多くの学生を育成しました。その後、獨協大学経済学部の教授、そして第5代学長も務めています。

島根県知事としての業績

1975年、恒松は郷里である島根県の知事に就任し、政治家としての道を歩み始めました。日本社会党の推薦を受けましたが、県議会の多数を占める保守系議員の支持も得て、3期12年という長期にわたり県政を担いました。知事時代には、宍道湖・中海淡水化事業を巡る問題に尽力したほか、韓国・慶尚北道との姉妹提携を実現するなど、国際交流にも貢献しました。

県庁内では、予算編成時に担当部課長が徹夜で知事の質問に備えるほど、厳しい姿勢で県政運営に臨みました。また、中堅職員を選抜し、庁内にビジョン研究会を編成するなど、人材育成にも力を注ぎました。

知事退任後の活動

知事退任後は、東京都に居を移し、獨協大学学長として大学運営に携わる傍ら、地方分権や道州制の導入を積極的に主張しました。地方自治の重要性を訴え続け、日本の政治制度改革に貢献しました。

交友関係

大学時代には、岸本誠二郎のゼミで若林誠郎（京都近鉄百貨店社長）と親交を深めました。同じ価値論を研究した仲間であり、若林は恒松の知事としての活躍を喜んでいました。

晩年

恒松は2011年7月23日、肺炎のため88歳で生涯を閉じました。その生涯は、研究者、教育者、政治家として、日本の発展に大きく貢献しました。

著書

恒松は、数多くの著書を執筆しており、その業績は多岐にわたります。

『フィリピンの経済開発と国際収支』
『農村経営論』
『地方財政論』
『変革の地方自治―当面する自治体の課題』
『変革に対応する地方財政』
『地方公務員のための財政学の知識』
『理にして温:自治と連帯の社会をめざして』
『変わるか!地方自治―ソフト志向、価値観、21世紀へ』
『財政学の知識』
『いま、ふるさと創生は』
『連邦制のすすめ―地方分権から地方主権へ』
『地方財政論：改訂版』

また、共著や翻訳も多数あります。

まとめ

恒松制治は、経済学者、教育者、政治家として、地方自治の確立と日本の発展に貢献した人物です。地方分権や道州制の導入を提唱し、その先見性は高く評価されています。彼の業績は、現代の日本社会においても重要な示唆を与え続けています。

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