恩智神社

恩智神社の概要

恩智神社（おんじじんじゃ）は、大阪府八尾市恩智中町に位置する神社で、河内国の重要な社の一つとして知られています。この神社は式内社であり、名神大社にも指定されています。その歴史は古く、創建の正確な時期は不明ですが、神功皇后の三韓征伐に関する伝説が残っています。

祭神

現在、恩智神社が祀っている祭神は二柱です。1つ目は大御食津彦大神（おおみけつひこのおおかみ）であり、2つ目は大御食津姫大神（おおみけつひめのおおかみ）です。この二柱の神々は、ともに食物を司る存在とされています。神社の本殿にはそれぞれの祭神を祀るために二棟の殿が建てられています。

歴史と由来

恩智神社の創建は奈良時代の天平宝字年間（757-765年）とされ、藤原氏によって再建されたという伝説があります。社伝によれば、神功皇后の際に恩智神は現れて皇后を護ったことがこの神社の起源とされています。また、元々は西方の天王の杜に鎮座していましたが、南北朝時代の初期に現在の地に遷座したと伝えられています。

最初の文献上の所見は、天平10年（738年）の『古記』であり、そこに恩智神社の名が記されています。その後もさまざまな文献に登場し、平安時代には神階が昇位されるなど、次第に重要性を増していきました。特に嘉祥3年（850年）、天安3年（859年）には正三位と従二位勲六等に昇叙されたことが記録されています。

中世・近世の動向

中世には、戦国時代の影響を受けて社殿が焼失したこともありますが、信仰は衰えることなく続きました。江戸時代には、住吉大社との関係が指摘され、渡御する神事が行われていました。明治維新後は近代社格制度により、段階的に社格が上昇し、最終的に府社に昇格されました。

社殿と境内

恩智神社の本殿は2棟の王子造りで、左右にそれぞれ祭神が祀られています。周囲には玉垣や透塀があり、拝殿も再建されています。境内から約800メートル西方には、以前の鎮座地である天王の杜があり、ここには縄文時代から弥生時代中期の遺跡が存在しており、考古学的にも重要な地域です。

神社には摂末社として11の境内社と1つの境外社があり、地域の信仰の中心としての役割を担っています。

祭事と文化財

神社では年間を通じて様々な祭事が行われ、特に11月24日には特別な神事である御供所神事が行われます。この神事は新嘗祭の伝統を引き継いだもので、地元の米を使って特別な餅を調製します。また、恩智社自体も文化財としていくつかの指定を受けており、地域の歴史や文化を彷彿とさせる重要な施設です。

まとめ

恩智神社は、その長い歴史と地域に根差した信仰によって、八尾市の重要な文化的拠点となっています。多くの祭事や文化的行事を通じて、地域の人々にとって特別な存在であり続けています。

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