恩馳島

恩馳島（おんばせじま）について

恩馳島は、東京都の神津島村に位置する無人島であり、伊豆諸島の神津島の西に存在しています。この島は、2つの大きな岩礁と多数の小岩礁から成り立っており、周囲の美しい海と多様な生態系が魅力的です。神津島の前浜から西南西に約5.8kmの距離に位置しており、遊漁船で約20分の時間を要します。

島内には北東側の「オオジマ」と南西側の「サッパン」の2つの主要な岩礁があり、それぞれの最高地点は60.0mおよび36mに達します。釣り人にとって、この周辺は潮流が速く、特に漁獲において有望なスポットとなっています。漁師たちは悪天候に遭遇した際、かつてこの島に避難したと伝えられており、そのため「恩馳島」という名前が付けられたとされています。

オオジマの南側には恩馳神社が位置し、かつては毎年7月の海が穏やかな日に例祭が行われていましたが、現在は漁業形態が変わったため、祭りは開催されなくなっています。この島は、昔の溶岩円頂丘の名残と見なされています。

黒曜石の産地

恩馳島は黒曜石の豊富な産地としても有名です。黒曜石は日本列島の石器時代において、広く利用されている資源であり、島から産出される黒曜石は特に質が良く、良好な元素組成比により産地の特定が可能です。強固で斑晶鉱物が少ないため、石器石材として高く評価されています。特に、この黒曜石は古代の人々によって広く利用され、日本各地へと運ばれました。

生態系

さらに、恩馳島は富士箱根伊豆国立公園の特別保護地区に指定されており、貴重な生物が生息しています。かつてはニホンアシカの生息地でもあり、現在はカンムリウミスズメの繁殖地として知られています。オーストンウミツバメやウミネコ、ヒメクロウミツバメなどもこの島で繁殖しており、豊かな生物多様性が保たれています。

他の情報

1991年にはフジテレビの深夜番組『1or8』のロケ地としても使われたことがあります。自然に囲まれたこの無人島は、訪れる人々にとって特別な場所であり、観光や研究の対象としても注目されています。

恩馳島は、その美しい自然とユニークな文化的背景から、多くの人々に愛されています。自然の中での静かな時間を過ごしたい方や、生物多様性に興味のある方には特におすすめのスポットです。

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