息栖神社

息栖神社



息栖神社(いきすじんじゃ)は、茨城県神栖市息栖に位置する神社です。この神社は、鹿島神宮茨城県鹿嶋市)、香取神宮千葉県香取市)と並び、東国三社の一社として広く知られています。古くから信仰を集める由緒ある神社であり、その歴史と文化は今日まで大切に受け継がれています。

祭神



息栖神社では、以下の神々が祀られています。

主祭神



久那戸神(くなどのかみ、岐神):社伝によると、久那戸神は鹿島神と香取神による葦原中国平定の際、東国への道案内を務めたとされています。

相殿神



天鳥船命(あめのとりふねのみこと):『古事記』には、建御雷神の副神として葦原中国平定に同行したと記されています。
住吉三神(すみよしさんしん):上筒男神、中筒男神、底筒男神の三柱の神々の総称です。

江戸時代の文献には、主神を気吹戸主神とする説も見られます。

歴史



創建



社伝によれば、息栖神社は第15代応神天皇の時代に日川の地(現在の神栖市日川)に創建されたとされています。その後、大同2年(807年4月13日藤原内麻呂によって現在の場所に移されたと伝えられています。

神社の名称について、『日本三代実録』には「於岐都説神」と記されています。また、元亨元年(1321年)の古文書には「おきすのやしろ」とあるように、古くは「おきす」と呼ばれていました。この「おきつせ・おきす = 沖洲」という古称から、香取海に浮かぶ沖洲に祀られた神であると考えられています。祭神が久那戸神(岐神)と天鳥船命であることから、水上交通の神としての側面も持っており、鹿島・香取と同様に東国開発の拠点であったとする見方もあります。

概史



国史では、『日本三代実録』に仁和元年(885年)、「於岐都説神」が正六位上から従五位下に叙されたという記録があります。この「於岐都説神」は息栖神社を指すとされていますが、『延喜式神名帳』には記載がないため、国史見在社に分類されます。

息栖神社は、古くから香取神宮鹿島神宮と並び「東国三社」と称されてきました。しかし、地理的な関係から鹿島神宮の影響が強く、同宮の摂社とみなされることもありました。鎌倉時代の『鹿島社例伝記』や室町時代の『鹿島宮年中行事』からも、鹿島神宮と息栖神社の密接な関係が窺えます。また、朝廷からの崇敬も篤く、元寇の際には国家安泰を祈願するため勅使が派遣されたという記録も残っています。

江戸時代には徳川家の崇敬が厚く、慶長9年(1604年)には鹿島神宮領から14石が寄進されました。この時代には「下三宮参り」として、伊勢神宮参拝後に東国三社を巡拝する習慣が関東以北の人々の間で広まりました。息栖の河岸は、利根川水運の拠点として栄え、多くの参拝客で賑わいました。

明治維新後、明治元年(1868年)と明治4年(1871年)には勅使が派遣され、明治10年(1877年)には独立した神社として県社に列しました。

神階



仁和元年(885年)3月10日:正六位上から従五位下(『日本三代実録』) - 表記は「於岐都説神」。

境内



現在の社殿は、昭和35年(1960年)に火災で焼失した後に、昭和38年(1963年)に再建されたものです。鉄筋コンクリート造りで、本殿、幣殿、拝殿から構成されています。神門は弘化4年(1847年)に造営されたもので、火災を免れ現存しています。

一の鳥居の両側には、「忍潮井(おしおい)」と呼ばれる2つの井戸があります。これらは「日本三霊泉」の一つとされ、社伝によると神功皇后3年に造られたとされています。井戸はそれぞれ「男瓶」「女瓶」という名の土器から水が湧き出ています。現在の井戸は、昭和48年(1973年)5月に河川改修のため移転されたものです。

摂末社



4柱合祀社:鹿島神社、伊邪那岐神社、高房神社、奥宮
5柱合祀社:香取神社、手子后神社、八龍神社、江神社、若宮
稲荷神社

祭事



息栖神社では、年間を通じて様々な祭事が行われています。

元旦祭(1月1日)
白馬祭(1月7日)
節分祭(2月節分)
祈年祭(3月6日)
例大祭(4月13日
境内社祭(5月3日)
大祓(みそぎ祭)(6月30日)
風祭(8月27日)
秋祭(11月23日)
献穀祭(12月3日)
大祓(12月31日)

現地情報



所在地茨城県神栖市息栖2882

交通アクセス
バス:高速バス・路線バスで「鹿島セントラルホテル」バス停下車(徒歩約30分)、神栖市コミュニティバスで「息栖神社」バス停下車(本数少)
車(タクシー):JR小見川駅、潮来駅、鹿島神宮駅から約20分

脚注



注釈



(ここに注釈があれば記載する)

出典



(ここに参考文献があれば記載する)

参考文献



神社由緒書 (PDF)
肥後和男「息栖神社」(『国史大辞典 1』、吉川弘文館、1979年)
高橋丈夫「息栖」/堀田富夫「息栖神社」(『茨城県大百科事典』、茨城新聞社、1981年)
『日本歴史地名体系 茨城県の地名』、平凡社、鹿島郡 息栖神社項
『新鹿島神宮誌』、鹿島神宮社務所、2004年改訂版

関連項目



鹿島神宮
香取神宮

外部リンク



息栖神社 - 公式サイト

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