恵日寺 (香南市)

恵日寺について

恵日寺（えにちじ）は、高知県香南市香我美町山北に位置する真言宗智山派の仏教寺院であり、本尊として十一面観音を祀っています。この寺院は、奈良時代の神亀2年（725年）に行基によって創建されたと伝えられています。平安時代には、弘法大師として知られる空海がこの地を訪れたとされ、寺院内には彼にまつわる伝説が残る釣井や泉も存在しています。

歴史的背景

恵日寺は時の流れの中で様々な変遷を経てきました。特に、江戸時代の寛文6年（1666年）には火災によって堂宇が焼失しました。その後、寛政5年（1793年）に再建され、寺域は七坊を有するまでに成長しました。この寺院は北麓川村（現在の香美市土佐山田町逆川）の全域を寺領として抱えていましたが、明治初頭に廃仏毀釈によって一時的に廃寺となりました。その後、月見山宝幢院（香南市香我美町岸本）に所属する仏堂となり、昭和17年（1942年）に寺号が復活を果たしました。

現在、恵日寺は鬱蒼とした森に包まれ、当時の石積みや、境内の左側には石仏や石塔が並んでいます。この様子から、かつては広大な境内地を持つ寺院であったことが見受けられます。

文化財の数々

恵日寺は多くの重要文化財を有しており、その中でも特に以下のものが国に指定されています。

• - 木造十一面観音立像（本尊）: 平安時代に造られた素木像で、一木造りにされた彫眼の像です。
• - 木造金剛界大日如来坐像: 檜材から寄木造りが施されたこの座像も平安時代後期のものであり、2012年3月に盗難に遭いましたが、その後同年5月に無事発見されました。
• - 木造胎蔵大日如来坐像: こちらも平安時代後期の檜材を使った寄木造りの座像です。

また、四天王寺所蔵の木造毘沙門天立像（国の重要文化財）は、この寺院から移されたものとされています。

アクセス情報

恵日寺への訪問は、はりまや橋バス停から高知東部交通の安芸駅行きバスに乗車し、「野市龍河洞通」で下車、そこから車で15分ほどの距離です。また、自動車利用の場合は、県道22号線を通り、香南市役所を過ぎて県道385線（龍河洞スカイライン）を利用し、「のいち動物公園」を越えた後、左側に見える参道を進むとアクセス可能です。

参考文献

• - 『日本歴史地名大系 高知県の地名』（平凡社、1983年）
• - 圭室文雄編『日本名刹大事典』（雄山閣、1992年）

また、周辺には龍河洞スカイラインや龍河洞といった観光名所も点在しており、恵日寺を訪れる際には是非立ち寄ってみることをお勧めします。

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