恵那錆石

恵那錆石（えなさびいし）とは

恵那錆石は、岐阜県中津川市蛭川地区を中心とした地域で産出される、赤茶色を帯びた独特の色合いが特徴の花崗岩です。別名として、恵那錆、恵那みかげ、蛭川みかげとも呼ばれています。

特徴

恵那錆石は、黒雲母花崗岩に分類され、その特徴として、アルカリ長石のパーサイト構造が棒状であること、黒雲母に放射性の色暈が見られることが挙げられます。この独特の錆色は、岩石に含まれる有色鉱物やアルカリ長石が風化することで生じます。雲母の成分は、K2(Mg,Fe,Al)6-5(Si,Al)8O20(OH)4で表されます。

錆石について

一般的に「錆石」とは、花崗岩に含まれる鉄分が酸化して表面に錆のように現れたものを指します。この錆の色合いが好まれ、珍重される理由となっています。しかし、硬度や吸水率の点では他の花崗岩に劣る場合があるため、注意が必要です。

錆石は、白花崗岩が風化によって変色したもので、色むらが多く、大きな石材を切り出すのが難しいという特徴があります。また、吸水率が高く、強度が低いものも多いため、使用場所を選ぶ必要があります。ジェットバーナー加工を施すと赤く変色する性質も持っています。

錆石の色と汚れ

錆石に見られる錆の色は、汚れが原因ではありません。石材に含まれる鉄分が酸化したことによる自然な色合いです。そのため、色を落とそうとして無理に洗浄したりする必要はありません。

その他の錆石

錆石は、恵那錆石以外にも、京都の鞍馬石や岡山県笠岡市北木島で採れる北木石、稲田石などがあります。これらの石も、それぞれ独自の色合いや特徴を持っています。

表面仕上げ

錆石は、一般的な御影石と同様に、様々な表面仕上げが可能です。しかし、ジェットバーナー加工を施すと黄色から赤茶色に変色するため、意図的に赤味を出したい場合以外は、磨きやブラスト仕上げが用いられることが一般的です。ブラスト仕上げは、石材全体を白っぽく見せる効果があり、色むらを緩和する効果も期待できます。

用途

恵那錆石は、その独特の風合いから、墓石として多く利用されています。また、下呂温泉の旅館では、浴槽に使用されている例も見られます。これは、錆石の持つ温かみのある色合いが、温泉の雰囲気に合うためでしょう。

まとめ

恵那錆石は、岐阜県中津川市蛭川地区で採掘される、赤茶色の美しい花崗岩です。その独特の色合いは、鉄分の酸化によるものであり、他の花崗岩にはない魅力があります。墓石や温泉旅館の浴槽など、様々な用途で利用されており、これからもその美しさを活かした利用が期待されます。

参考資料

鷹村権編著『建築学及び岩石学から見た石材と都市美 : 原色石材図鑑』松永書店出版部、1990年。ISBN 978-4876091607。

関連項目

石材
墓石
岩石
火成岩
深成岩
* 花崗岩

もう一度検索