悪妻行進曲

悪妻行進曲：憎めない悪妻たちの群像劇

1977年、TBS系列にて放送された『悪妻行進曲』は、木下恵介プロダクションによるホームコメディドラマです。同プロダクションがこれまでに制作してきた「人間の歌シリーズ」とは一線を画し、放送時間やターゲット層を主婦層へと変更した意欲作として知られています。

これまでの作品とは異なり、本作は複数の夫婦が登場し、それぞれの家庭で繰り広げられる様々な人間模様をコミカルに描いています。ただ単に「悪妻」と表現されるのではなく、憎めないキャラクター性を持った女性たちが中心となって物語が展開していく点が、本作の大きな特徴と言えるでしょう。

豪華俳優陣が出演したことも話題となりました。林隆三演じる星山洋平とその妻・厚子役の大谷直子、厚子の妹役として木之内みどりが登場するなど、当時の人気俳優たちが脇を固めています。その他、細川俊之、篠ヒロコ、植木等、谷啓といった個性豊かな俳優陣がそれぞれの夫婦を演じきり、ドラマに華を添えています。

脚本は宮崎晃氏と桜井秀雄氏が担当。演出は鈴木利正氏と山田高道氏が務め、飯島敏宏氏がプロデューサーとして作品を牽引しました。制作は木下恵介プロダクション（現・ドリマックス・テレビジョン）とTBSの共同制作です。

物語の舞台は、現代日本の家庭。それぞれの家庭で起こる出来事をコミカルに描きながらも、夫婦間の愛情や家族の絆といった普遍的なテーマを丁寧に扱っています。視聴者たちは、登場人物たちの喜怒哀楽に共感し、笑い、そして時には涙する。そんな、誰もが楽しめるドラマとして高い人気を博しました。

主な登場人物

星山洋平（林隆三）：物語の中心人物となる夫。
厚子（大谷直子）：洋平の妻。本作のタイトルにもなっている「悪妻」のひとり。しかし、その言動は憎めない可愛らしさにあふれています。
涼子（木之内みどり）：厚子の妹。
笹倉透（細川俊之）：洋平の友人。
静枝（篠ヒロコ）：透の妻。
飯田総一郎（植木等）：コミカルなキャラクターで物語に彩りを添える人物。
太郎（森川正太）：総一郎の息子。
荒川健太（谷啓）：個性的な夫婦像を描く、もう一組の夫婦の夫。
ミネ子（岡まゆみ）：健太の妻。
津村兵衛（松村達雄）：静枝の父。
里子（沢村貞子）：厚子の母。
飯田芳子（赤木春恵）：
* 南美川陽子：

その他にも多くの俳優が出演し、それぞれのキャラクターがドラマに深みを与えています。

『悪妻行進曲』は、現代社会における夫婦関係や家族のあり方をユーモラスに描いた、忘れがたいホームコメディとして記憶されています。当時の新聞番組放送欄や週刊TVガイドなどの資料から、その人気ぶりがうかがえます。 木下恵介監督作品群の中でも、特に女性視聴者からの支持を集めた作品の一つと言えるでしょう。

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