悪魔 (タロット)

悪魔（The Devil）

悪魔のカードは、タロットの大アルカナに属し、番号は「15」となります。前のカードは「14 節制」、次のカードは「16 塔」です。このカードは、特徴的な象徴と多様な解釈を持っており、タロット占いにおいて重要な役割を果たします。

カードの意味

正位置の解釈

悪魔が正位置で出た場合、その意味は裏切りや堕落、束縛、そして悪循環のようなネガティブな側面が強調されます。特に、誘惑や憎悪、嫉妬心など、人間の暗い内面を表現し、個人の心に潜む影を浮かび上がらせることが特徴です。これにより、自己の内面と向き合う機会が与えられることもあります。

逆位置の解釈

逆位置では、悪魔は回復や新たな出会い、リセットを示唆します。この姿勢は、自己反省や出直し、新たなスタートへの希望を感じさせるものです。このように、悪魔は一見すると恐ろしいカードですが、同時にポジティブな変化を促す存在であるとも言えます。

カバラとの関連

悪魔のカードは、ヘブライ文字「アイン（ע）」にも関連しており、特に「黄金の夜明け団」の教えでは、ティファレトとホドのセフィラを結びつける経にまで関連付けられています。このような神秘的な解釈は、タロットにおける悪魔の深い意味を掘り下げる手助けとなります。

占星術との相関

悪魔のカードはまた、複数の星座や惑星と結び付けられています。考えられる星座には、双児宮、天秤宮、人馬宮、磨羯宮があり、惑星では水星、火星、土星が関連づけられることが多いです。こうしたつながりは、悪魔の様々な側面をより多面的に理解する鍵となります。

寓意画の解釈

悪魔は見た目に強い印象を与え、特にマルセイユ版では、黄金の角と冠、コウモリのような羽、鋭い爪を持つ姿で描かれています。悪魔は人間に対する強い誘惑を象徴する存在であり、その姿は「訳がわからない」というテーマを含んでいます。頭部の角は牡鹿の形をし、手には猛禽類を思わせる爪を持ちながら、背中の羽は哺乳類の形をしています。また、男性を示す股間の膨らみと女性を意識させる胸部の図は、悪魔が持つ隠された意図の象徴とも解釈されます。

このカードに表れる剣は、制御されずに暴力を表す象徴であり、自己破壊をもたらす危険な存在としての悪魔を強調します。同時に、悪魔は創世記における善悪の知識の象徴とも見なされ、知恵の実を食べることで人間に新たな理解をもたらした存在ともいえます。

絵の構図と象徴

悪魔のカードには、悪魔の下に繋がれた２人の人物が描かれており、これは悪魔に仕える存在とされています。この人物たちの表情は、自由意志を持たず、自己中心的な感覚に囚われている様子を表しています。しかし、縄がゆるく描かれているため、覚醒や自覚があれば解放される可能性も含意します。

悪魔を取り巻く象徴や構図からは、人間の内面的な葛藤や成長の機会を示唆していると言えるでしょう。道徳や倫理に反しがちな感情と向き合い、自分自身を見つめ直すことを促すメッセージが込められています。悪魔の一面を理解することで、我々は自己の成長に向けた新たなステップを踏み出すことができるのです。

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