大韓民国国軍情報司令部(KDIC)は、韓国の国
軍における重要な機関であり、情報収集や諜報業務を専門としています。この組織は国防部国防情報本部の傘下に位置し、主に海外や北朝鮮に関する
軍事情報を収集することが求められています。また、特にヒューマンインテリジェンス(人間情報)に注力している点が特徴です。こうした活動の結果、情報司令部は北朝鮮の特殊工作員との関係が深いことで知られています。
沿革
陸軍の初期
陸
軍の情報活動は1945年に米
軍政府の国内警備部に情報課を設立したことから始まりました。1946年に
南朝鮮国防警備隊が設立され、その中に情報課が設けられました。1948年5月には内部防諜を担当する特別調査課が設立され、その後陸
軍本部傘下に組織が統合されていきました。
朝鮮戦争勃発後は、情報局がより広範な諜報活動を実施し、1950年代には諜報作戦の拡充が見られました。
1948年9月には海
軍内に情報課が設立され、後に情報部隊に改編されました。空
軍においても1954年に情報部隊が創設されています。これらの取り組みを通じて、韓国
軍全体の情報収集能力が向上しました。
統合と変革
1990年には、韓国の全
軍の情報部隊が統合され、国
軍情報司令部が新設されました。その後、1999年には国防情報本部の傘下に位置づけられ、名称も変更されました。このような形で、情報司令部は常に進化を続けてきました。2013年には司令部の移転が行われ、現在の兵站と情報活動の拠点が整備されています。
不祥事
白色テロ
1980年代、特に第五共和国の期間中には、情報司令部が民主化運動に対して暴力的な弾圧を行ったことが問題視されました。これは後に逮捕や起訴につながり、国民の間で大きな非難を浴びる結果となりました。
情報漏洩
近年では、内部情報が漏洩する事件も発生しています。2017年には北朝鮮関連の
軍事機密が漏洩する事件があり、関係者が逮捕されました。また、2024年には再び
軍事機密が外部に流出する事件が報じられ、情報司令部の安全管理に対する信頼が揺らいでいます。
内乱未遂
さらに、2024年には非常戒厳が宣言された際、情報司令部所属の部隊が中央選挙管理委員会に侵入する事件が発生しました。この行動が政治的緊張を生む一因となり、関与した司令官が逮捕されるという事態にも発展しました。
歴代の司令官
情報司令部の指揮を執る司令官は、これまでほとんど情報が公開されていないため、その実態は謎に包まれています。歴代の司令官の多くは陸
軍出身であり、背景から陸
軍の影響が感じられます。
まとめ
大韓民国国軍情報司令部は、歴史的な背景を持ちながらも多くの変革を遂げており、現代の諜報活動においても重要な役割を果たしています。国内外の情報収集を行う一方で、不祥事や内部の問題に対処する課題も抱えています。