情婦 (映画)

映画『情婦』について

1957年に制作されたアメリカ映画『情婦』（原題: Witness for the Prosecution）は、著名な作家アガサ・クリスティの短編小説及び戯曲『検察側の証人』に基づく法廷ミステリーです。この作品は著名な監督であるビリー・ワイルダーが手掛け、魅力的なキャストが揃っています。主演にはタイロン・パワー、マレーネ・ディートリヒ、チャールズ・ロートン、エルザ・ランチェスターらが名を連ねています。

この映画の原作は、アガサ・クリスティによる推理小説であり、自身の戯曲としてもブロードウェイやロンドンで長い間上演されてきました。ビリー・ワイルダーはこの舞台作品を映画に適した形で再構築し、鮮やかな映像美と巧妙な脚本によって観客を惹きつけました。

ストーリー概要

物語は1952年のロンドンに設定されており、著名な老弁護士ウィルフリッド卿は、重病からの回復を果たし事務所に戻ると、早速未亡人を殺害したとして逮捕されたレナード・ヴォールの弁護を依頼されます。レナードのアリバイを証明できるのは、妻であるクリスチーネのみ。しかし、彼女の態度は夫を信じていないかのように思え、事態は厳しいものとなります。

ウィルフリッドは、体調の優れない中でも弁護を引き受け、クリスチーネの証言なしで公判に臨む決意を固めました。しかし、裁判が進むにつれ、証言が次々と変わり、ウィルフリッドはクリスチーネの証言が嘘であると確信します。ただし、彼女の真意を見抜くことができず、反論の手立ても見出せずにいました。

その後、謎の女性からの電話がウィルフリッドの運命を変えるきっかけとなります。この女性は、クリスチーネの秘密を知っていると言い、ウィルフリッドは彼女と会うために指定された場所へ向かいます。そこで、クリスチーネが夫レナードを陥れようとしていた証拠となる手紙を入手し、彼女の目論見を暴くことに成功します。

この決定的な証拠によって、公判は大逆転を迎え、レナードは無罪となりますが、クリスチーネは偽証の罪に問われることになります。物語は、弁護士として見事な勝利を収めたウィルフリッドが、あまりにも出来過ぎた結末に疑念を抱くという複雑な展開で締めくくられます。

受賞歴

本作は、その年のアカデミー賞において、主演男優賞（チャールズ・ロートン）と助演女優賞（エルザ・ランチェスター）にノミネートされましたが、いずれも受賞には至りませんでした。しかし、ランチェスターはゴールデングローブ賞の助演女優賞を受賞し、本作の素晴らしさを広く認識される結果となりました。

映画『情婦』は、ミステリーと法廷劇の要素を巧みに融合させた作品として、今なお多くの人々に愛されています。クリスティの原作の魅力とワイルダー監督の手腕が絶妙に組み合わさった名作は、映画ファンにとって必見の一本と言えるでしょう。

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