惑星冒険もの

惑星冒険ものとは

惑星冒険もの（Planetary Romance）は、異国風の惑星を舞台にしたサイエンス・フィクションまたはファンタジーの一種で、主に冒険を中心に描かれます。このジャンルでは、主人公たちが多くの場合、宇宙旅行を通じて異なる惑星での冒険や戦闘を繰り広げ、その惑星固有の文化や物質に影響を与えられたストーリーが展開されます。

歴史的背景

惑星冒険もののルーツは、1662年にシラノ・ド・ベルジュラックが発表した『太陽諸国諸帝国』から始まります。この作品以降、ムルタ・マクダーモットの『A Trip to the Moon』やアシール・エアーオードの『Voyage à Vénus』など、さまざまな作品が異星を舞台にした冒険を描いてきました。日本でも貫名駿一の『星世界旅行 千万無量』や杉山藤次郎の『黄金世界新説』などの作品がありました。

ジャンルの特徴

惑星冒険ものは、19世紀末から20世紀初頭のパルプ小説が起源であり、異国の設定を生かした豪快な冒険が中心となっています。これに、宇宙の旅行を加えたものが主な形となり、特に火星や金星などの惑星が多く舞台となります。物語には、しばしば戦闘や冒険、敵対的な異星人族との遭遇が描かれ、時には地球の文化や技術との対比がテーマとなることもあります。

エドガー・ライス・バローズの影響

このジャンルを確立した作家として、エドガー・ライス・バローズが挙げられます。彼の作品には特に「火星シリーズ」があり、1912年に発表された『火星の月の下で』は、惑星冒険もののスタイルを広めました。バローズは火星を舞台に、古代の騎士道と未来的な技術を融合した世界を描き、その多様性が後の作品に影響を与えました。彼の作品から派生した「剣と惑星」ものというサブジャンルも生まれ、多くの作家たちがこのスタイルを模倣しました。

作品の展開

1930年代には、SFパルプ雑誌が新たな市場を開き、惑星冒険ものはより多くの作家に受け入れられました。特にC・L・ムーアは、心理的緊張を描いた作品によって、このジャンルに新しい視点をもたらしました。また、リイ・ブラケットのような作家は、冒険を描くだけでなく、政治や文化の衝突といったテーマにも焦点を当てました。

現代の惑星冒険もの

1960年代から、科学の進歩により、惑星冒険もののスタイルは変化しました。太陽系以外の惑星を舞台にした物語が多く見られるようになり、例としてはジョン・ノーマンの《反地球》シリーズがあります。最近では、フランク・ハーバートの《デューン》シリーズやアーシュラ・K・ル＝グウィンの《ハイニッシュ・サイクル》などが、惑星冒険ものとして評価されています。特に《デューン》は、哲学や政治をテーマにした深いストーリーを展開し、従来の冒険物とは異なる方向性を示しました。

結論

惑星冒険ものは、異国風の惑星での冒険を通じて様々なテーマを描いてきました。今もジャンルとして重要ですが、その評価は様々で、作家自身がこの呼び名を避ける場合もあります。惑星との冒険の融合は、サイエンス・フィクション界において今後も続くことでしょう。

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