愛のむきだし

愛のむきだし

概要

『愛のむきだし』は、2009年に公開された園子温監督による日本映画です。この作品は、監督が約20年前に出会った「盗撮のプロ」の人物をモデルに、自身の体験や取材を織り交ぜて制作されました。物語は、親からの愛情を受けずに育った若者たちが、心の空虚さを埋めるために変態行為、暴力、新興宗教に走る姿を描いています。R-15指定が示すように、盗撮、パンチラ、勃起といった過激な描写が含まれている一方で、その映像表現とストーリーの独創性から国内外で高い評価を受けています。

上映時間は237分と非常に長く、劇場によってはインターミッションを挟んで二部構成で上映されました。DVDは2枚組で発売され、その長さが大きな話題となりました。

ストーリー

物語の主人公は、クリスチャンの家庭に育った高校生の本田悠。幼くして母親を亡くし、「マリア様のような人を見つけなさい」という母の言葉を胸に、神父である父・テツとつつましく暮らしていました。しかし、テツに愛人カオリが現れたことで、二人の生活は一変します。テツはカオリに溺れ、彼女が去ると、そのショックからか悠に毎日「懺悔」を強要するようになります。

父との繋がりを失いたくない悠は、罪作りに励むようになり、その行動はエスカレートして盗撮魔へと堕ちていきます。父に「変態」と罵られ、殴られたことで、悠はそれを愛だと感じてしまい、父への執着は歪んだ愛へと変わっていきます。そんな中、女装した悠は（通称：サソリ）不良少年を倒した女子高校生・尾沢洋子と出会い、初めて恋に落ちます。洋子もサソリに惹かれ、互いに恋心を抱くようになります。

しかし、テツがカオリと再婚することになり、その連れ子が洋子だったことから、悠の混乱は深まります。洋子はサソリの正体が悠だとは気づかず、彼を毛嫌いします。その頃、新興宗教団体「0教会」が世間を騒がせており、教団の幹部・コイケが悠の家族に近づき、洗脳していきます。家族を救うため、悠は「0教会」に戦いを挑む決意をします。

キャスト

本田悠（ユウ）：西島隆弘
尾沢洋子（ヨーコ）：満島ひかり
コイケ：安藤サクラ
カオリ：渡辺真起子
本田テツ：渡部篤郎

その他、多数の個性的な俳優が出演しています。

スタッフ

監督・脚本・原案：園子温
音楽：原田智英
撮影：谷川創平
美術：松塚隆史

音楽

主題歌・挿入歌にはゆらゆら帝国の楽曲が使用されています。

主題歌・挿入歌：「空洞です」/ ゆらゆら帝国
挿入歌：「美しい（Album Version）」/ ゆらゆら帝国、「つぎの夜へ」/ ゆらゆら帝国

上映時間

237分という長尺であるため、一部の劇場では休憩を挟んで上映されました。

評価

本作は、その過激な内容と長尺のため、賛否両論を呼びましたが、国内外の映画祭で数々の賞を受賞し、高い評価を得ました。

第9回東京フィルメックス：アニエスベー・アワード
第59回ベルリン映画祭：カリガリ賞、国際批評家連盟賞
第83回キネマ旬報ベスト・テン：新人男優賞（西島隆弘）、助演女優賞（満島ひかり）
第64回毎日映画コンクール：監督賞（園子温）、スポニチグランプリ新人賞（西島隆弘、満島ひかり）
『映画芸術』2009年日本映画ベストテン：第1位

映画祭出品

第9回東京フィルメックス：特別招待作品
第59回ベルリン映画祭：フォーラム部門

関連商品

小説版『愛のむきだし』：園子温著
DVD、Blu-ray

外部リンク

『愛のむきだし』公式ブログ
allcinema
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allmovie（英語）
* IMDb（英語）

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