愛の狩人 (アルバム)

『愛の狩人』とは

1976年（昭和51年）にリリースされたスタジオ・アルバムです。平田満＋シャネル・ファイブという名義で発表され、平田満にとってはソロデビュー後初のアルバム、そしてシャネル・ファイブにとっては通算三作目にあたります。このアルバムは、当時の歌謡界において独特な位置を占める作品となりました。

制作背景

アルバムの背景には、原みつるとシャネル・ファイブとしての活動がありました。1971年7月、彼らはシングル「稚内ブルース」でデビューし、人気を博します。その後、リードヴォーカルであった原みつるが、作詞・作曲の際に用いていた「平田満」という名義を使い、1976年2月5日にシングル「愛の狩人」でソロデビューを果たしました。本アルバムは、そのソロデビューシングル発表の同年中に制作・リリースされたものです。アルバムに収録された全楽曲の編曲は、平田満のソロデビューシングル「愛の狩人」の編曲も担当した土持城夫が一手に手がけました。

収録曲の構成

このアルバムには、平田満のソロ名義での楽曲と、シャネル・ファイブが演奏するカヴァー曲を中心に、バラエティ豊かな楽曲が収められています。

具体的には、以下の楽曲が含まれています。

ソロデビューシングル「愛の狩人」の別テイクバージョン
同シングルのカップリング曲「札幌 - 長崎おんな達」
セカンドシングル「東村山音頭」
同シングルのカップリング曲「ビューティフル・サンデー」

さらに、原みつるとシャネル・ファイブ時代の楽曲も収録されました。

4thシングル「ハッキリ小唄」
同シングルのカップリング曲「すすきの情話」

これらのオリジナル楽曲に加え、アルバムの大きな特徴となっているのがカヴァー曲です。多様な年代やジャンルから選ばれた楽曲が、土持城夫のアレンジとシャネル・ファイブの演奏、平田満の歌唱という布陣で新たに生まれ変わっています。

カヴァーされた楽曲には、日本の歌謡史に名を刻む往年のヒット曲が含まれます。

春日八郎「山の吊橋」（1959年）
三橋美智也「達者でナ」（1960年）
城卓矢が菊地正夫名義で発表した「あほかい節」（1964年）
水森英夫が三音たかお名義で発表した「たった二年と二ヶ月で」（1971年）

また、アルバムが制作された1976年当時のヒットソングも積極的に取り上げられました。

木の実ナナ「おまえさん」
ダウン・タウン・ブギウギ・バンド「裏切り者の旅」

これらのカヴァー曲は、原曲とは一味違う、彼らならではのサウンドで楽しむことができます。

シャネル・ファイブのメンバー構成

アルバム制作時のシャネル・ファイブのメンバーは、クレジットによると以下の6名です。

梅村良一
河村義明
新田憲幸
木村悦男
吉田豊
阿部辰也

このうち、木村悦男、吉田豊、阿部辰也の三氏は、この時期に新たにバンドに加わったメンバーです。「原みつるとシャネル・ファイブ」として活動を開始した際のオリジナルメンバーである藤沢礼明、中上修の両氏は、このアルバムには参加していません。バンドの活動の中でメンバーチェンジがあったことがうかがえます。

ジャケットデザイン

アルバムのジャケットは、イラストレーターの茂木博治氏が手掛けました。メンバーの似顔絵をあしらったイラストは、平田満のセカンドシングル『東村山音頭』のジャケットデザインとも共通しており、当時の彼のビジュアルイメージを特徴づけています。

アルバムのその後

『愛の狩人』は、「平田満＋シャネル・ファイブ」名義で発表された唯一のアルバムとなりました。残念ながら、本アルバム以降、平田満名義でも、シャネル・ファイブ名義でも新たなアルバムがリリースされることはありませんでした。また、このアルバムは現在までCD化されておらず、オリジナルのレコードを入手する以外に聴く手段が限られているため、希少な作品となっています。1976年という時代の音楽シーンの一端を伝える貴重な記録とも言えるでしょう。

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