愛の軌跡〜ラヴラインズ

愛の軌跡〜ラヴラインズ：カーペンターズ20周年記念アルバムの詳細

1989年、カーペンターズはデビュー20周年を記念して、アルバム『愛の軌跡〜ラヴラインズ』（原題：Lovelines）をリリースしました。これは、カレン・カーペンターの悲劇的な死後発表された3枚目のアルバムであり、彼女の声の魅力を改めて世に知らしめる作品となりました。

アルバムには、多様な楽曲が収録されています。特に注目すべきは、カレン・カーペンターがフィル・ラモーンのプロデュースのもと、ソロ・アルバム『遠い初恋』（1996年発表）のために録音した4曲です。「ラヴラインズ」「イフ・ウィ・トライ」「愛の想い出」「イフ・アイ・ハド・ユー」は、このソロアルバムからの先行シングルとしてリミックスされ収録されており、リチャード・カーペンターは演奏に参加していません。これらの楽曲は、カレン・カーペンターの繊細な歌声を堪能できる、まさに珠玉の選曲と言えるでしょう。

残りの8曲は、1977年から1980年にかけてカーペンターズが録音した未発表のカバーソングです。「ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ」と「リトル・ガール・ブルー」は、ABCテレビの特別番組『Space Encounters』（1978年放送）と『Music, Music, Music』（1980年放送）のために録音された楽曲です。前者は『Space Encounters』では使用されず、後者で初披露された経緯があります。これらの楽曲は、カーペンターズならではのハーモニーとアレンジが施され、新鮮な魅力を放っています。

アルバムは、アメリカや日本でのチャート成功には至りませんでしたが、イギリスでは73位を記録し、1週間チャートにランクインしました。「ホノルル・シティ・ライツ」と「イフ・アイ・ハド・ユー」はシングルカットされましたが、アメリカではチャート入りを果たしませんでした。しかし、アルバム全体を通して、カレン・カーペンターの才能と、カーペンターズとしての音楽性が見事に融合した、多くのファンにとって貴重な作品となっています。

参加ミュージシャンは、カーペンターズ兄弟に加え、数々の優れたミュージシャンが参加しています。キーボードにはピート・ジョリー、グレッグ・フィリンゲインズ、ボブ・ジェームス、ロブ・マウンジーなど、ギターにはトニー・ペルーソ、ティム・メイ、エリック・ジョーンズ＝ラスムッセン、デヴィッド・ウィリアムス、デヴィッド・ブラウン、ラッセル・ジェイヴァースなどが名を連ねています。ベース、ドラムス、パーカッション、サックス、フルート、オーボエ、イングリッシュホルン、ハープ、バッキングボーカルなど、様々な楽器とボーカルが、楽曲に奥行きと彩りを加えています。それぞれのミュージシャンの個性が活かされ、楽曲の魅力を最大限に引き出していると言えるでしょう。

『愛の軌跡〜ラヴラインズ』は、カーペンターズの歴史において重要な位置を占める一枚です。未発表音源やソロアルバムからの楽曲などを収録した、まさに集大成と言える作品であり、カレン・カーペンターの美声を堪能できる、多くのファン必聴のアルバムと言えるでしょう。

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