愛への旅立ち

アート・ガーファンクルのソロキャリアにおいて2作目にあたるアルバムが、邦題『愛への旅立ち』、原題『Breakaway』です。サイモン＆ガーファンクルの活動停止を経て発表されたこの作品は、彼の独立したアーティストとしての道を確かに示すものであり、その透明感あふれる美しい歌声が存分に活かされています。

特筆すべき楽曲「マイ・リトル・タウン」

このアルバムの収録曲の中でも特に重要なのが「マイ・リトル・タウン」（My Little Town）です。この楽曲は、長らく活動を共にしていなかった旧友ポール・サイモンとの共作・共演が実現したことで大きな話題となりました。この曲はガーファンクルのアルバムだけでなく、同時期にリリースされたポール・サイモンのソロアルバム『時の流れに』（Still Crazy After All These Years）にも収録されており、二人の音楽的な結びつきが再び示された記念碑的な楽曲として、多くのファンに感動と喜びを与えました。

アルバムを彩る楽曲群

『愛への旅立ち』には、スティーヴィー・ワンダー作曲の「永遠の思い」、軽快なタイトル曲「愛への旅立ち」、ビーチ・ボーイズのブルース・ジョンストンによる「幸せな時間」、ブラジルの巨匠アントニオ・カルロス・ジョビンのボサノヴァ・スタンダード「春の予感」、ジャズ・スタンダード「瞳は君ゆえに」、スティーヴン・ビショップ作の「めぐり会い」と「ある愛の終わりに…」、アルバート・ハモンドとハル・デヴィッドによる「L.A. より99マイル」など、多様な作曲家による個性豊かな楽曲が収められています。アルバムは全10曲で構成されており、その収録曲リストは以下の通りです。

Side 1
永遠の思い - "I Believe (When I Fall In Love It Will Be Forever)" (Yvonne Wright, Stevie Wonder) - 3:47
悲しきラグ・ドール - "Rag Doll" (Steve Eaton) - 3:03
愛への旅立ち - "Break Away" (Benny Gallagher, Graham Lyle) - 3:31
幸せな時間 - "Disney Girls" (Bruce Johnston) - 4:32
春の予感 - "Waters of March" (Antonio Carlos Jobim) - 3:34
Side 2
マイ・リトル・タウン - "My Little Town" (Paul Simon) - 3:51
瞳は君ゆえに - "I Only Have Eyes For You" (Al Dubin, Harry Warren) - 3:36
めぐり会い - "Looking For The Right One" (Stephen Bishop) - 3:20
L.A. より99マイル - "99 Miles From L.A." (Albert Hammond, Hal David) - 3:29
ある愛の終わりに… - "The Same Old Tears On A New Background" (Stephen Bishop) - 3:42

総括

『愛への旅立ち』は、アート・ガーファンクルがソロアーティストとしての表現力を追求しつつ、旧友ポール・サイモンとの特別な共演も実現した、彼の音楽史において重要な意味を持つアルバムです。彼の持ち味である美しい歌声が、バラエティ豊かな楽曲群によって引き立てられ、ソロキャリアの代表作の一つとして現在も多くのリスナーに愛されています。

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