愛奴 (アルバム)

愛奴 デビューアルバム『愛奴』

『愛奴』は、1975年5月1日にデビューシングル「二人の夏」と同時にリリースされた、愛奴のファーストアルバムです。メンバーそれぞれが作曲を手掛け、全曲の作詞を浜田省吾が担当しています。

アルバム概要

アルバムには、愛奴の音楽的な多様性と、若き日の浜田省吾の才能が凝縮されています。最終曲「去りし友よ」の演奏後には、隠しトラックとして「雨上りのぶるーす」の一節が収録されており、遊び心も感じられます。この隠しトラックは、後の『AIDO Complete Collection』にも引き継がれています。

レコーディング秘話

アルバムのレコーディングは、吉田拓郎のバックバンドとしてツアーに参加する合間を縫って行われました。しかし、初日は8時間かけても1曲も録音できないなど、制作は困難を極め、当初の予定を大幅に超える期間を要しました。

浜田省吾は当時を振り返り、「初めてヘッドフォンをして歌うと、あまりに自分が音痴で愕然とした」「自分のドラムセットを持っていなかったため、レンタルドラムを使用していた」など、苦労話を語っています。アルバム完成後、「自分たちこそが最高だ」と確信した浜田でしたが、同時期にデビューしたシュガー・ベイブやセンチメンタル・シティ・ロマンスのアルバムを聴き、大きな衝撃を受けたそうです。

ジャケットについて

発売当初のジャケット写真は、ディレクターの蔭山敬吾が別案を提案していました。しかし、最終的にはメンバーが選んだものが採用されています。ただし、浜田はミーティングの際にデザイナーの田島照久が「良くない」と発言したことを覚えており、田島も浜田が自分に同意したと記憶しています。1982年の再発盤以降は、田島が新たにデザインしたジャケットに差し替えられ、CDでもそちらが使用されています（シングル「二人の夏」も同様の経緯でジャケットが変更）。オリジナル盤のジャケットは、浜田省吾のソロアルバム『初夏の頃 〜IN EARLY SUMMER〜』のCD-EXTRA機能で見ることができますが、『AIDO Complete Collection』では差し替え後のジャケットのみが紹介されています。

収録曲詳細

A面

1. 愛奴のテーマ
最初にレコーディングされた曲。『AIDO Complete Collection』では「AIDOのテーマ」と表記。シングル「恋の西武新宿線」のB面。
2. 初夏の頃
浜田省吾が1997年のアルバム『初夏の頃 〜IN EARLY SUMMER〜』でセルフカバー。
3. 春の日に
4. 二人の夏
デビュー曲としてシングルも同時発売。
5. 君がいれば
6. 愛するお前に

B面

1. 雨模様
同時発売のシングル「二人の夏」のB面に収録。
2. あの娘は僕の大事なべぇぃびぃ
3. 夢にいざなえ
「初夏の頃」同様、浜田省吾がアルバム『初夏の頃 〜IN EARLY SUMMER〜』でセルフカバー。
4. 恋の西武新宿線
後に2ndシングルとして発売されたが、別バージョン。浜田省吾が1979年のアルバム『君が人生の時…』でセルフカバー。
5. もうすぐ五月 外は雨
6. 去りし友よ


愛奴のデビューアルバムは、彼らの音楽的なルーツと、後の浜田省吾の活躍を予感させる作品として、今もなお多くのファンに愛されています。

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