愛宕念仏寺

愛宕念仏寺の紹介

愛宕念仏寺（おたぎねんぶつじ）は、京都市右京区嵯峨に位置する天台宗の寺院であり、等覚山を山号に持ちます。この寺院は厄除けのご利益がある千手観音を本尊としており、別名で「千二百羅漢の寺」とも知られています。愛宕山にある愛宕神社の参道の入口にあたるため、多くの観光客がここを訪れます。愛宕念仏寺は美しい自然環境に囲まれており、周辺の嵯峨野エリアの探索の起点とも言える場所です。

歴史的背景

この寺院は、天平神護2年（766年）に称徳天皇によって創設されました。当初は今の京都市東山松原通の近く、六波羅蜜寺のすぐそばに位置していました。寺名「愛宕寺」は、山城国の愛宕郡に初めて建てられた寺院であることに由来しています。平安時代初頭には真言宗東寺派の末寺にあたったと考えられていますが、醍醐天皇の時代には荒廃状態に陥り、わずかに残った堂宇も鴨川の洪水により流されてしまいました。

その後、天台宗の千観内供（後の念仏上人）によって復興が決定し、寺名は「愛宕念仏寺」と改められました。この頃には七堂伽藍が整い、勅願寺としての体裁を備えることができましたが、興廃を繰り返し、最終的には本堂、地蔵堂、仁王門の三つだけが残ることとなりました。

1922年には、現在の場所に本堂が移築され、寺院の再生が試みられましたが、第二次世界大戦中には無住状態となり、1950年のジェーン台風の影響で再び大きな損害を受け、完全に荒れ果ててしまいます。1955年に仏師兼僧侶の西村公朝が再興を命じられ、復興プロジェクトがスタートします。大西良慶の励ましも受け、彼は全国各地を巡りながら境内の整備に注力しました。

1980年に入り、仁王門の解体修理が始まり、その後本格的な境内の復興作業が進みました。1981年からは一般の参拝者も参加できる「昭和の羅漢彫り」が始まります。当初の目標は500体でしたが、10年後には1200体に達しました。

境内の見どころ

愛宕念仏寺の境内には多くの文化財が存在します。その中でも特に重要なのは本堂で、鎌倉時代中期に再建されたこの建物は、重要文化財に指定されています。本尊の千手観音が祀られており、信仰の中心としても知られています。また、石像の千二百羅漢像や、多宝塔、伝教大師像も見どころです。

「ふれ愛観音堂」では、撫でることでご利益を得ることができる「ふれ愛観音」が安置されています。他にも、地蔵堂、三宝の鐘、羅漢洞、庫裏など多彩な建物が並びます。そして仁王門は江戸時代中期に建立されたもので、金剛力士（仁王）像が護っています。

文化財としての重要性

愛宕念仏寺は多数の文化財を有しており、本堂や木造の千観内供坐像などは重要文化財として指定されています。特に木造金剛力士像は鎌倉時代のものであり、その芸術的価値が評価されています。

参拝情報

愛宕念仏寺は無休で開門しており、開門時間は9:00から16:15です。交通アクセスは、阪急嵐山線の嵐山駅から京都バス「愛宕寺前」までの路線が便利です。ただし、バスの運行頻度に注意が必要です。

また、JR京都線からは京都バスで「愛宕寺前」までのアクセスも可能ですが、便数が限られているため、訪問の際は事前に時刻を確認することをお勧めします。

愛宕念仏寺は、歴史的価値と文化財の宝庫として、多くの人々に愛され、支えられる場所です。訪れることで、古の信仰に触れる貴重な体験ができるでしょう。

もう一度検索