愛岐大橋

概要

愛岐大橋（あいぎおおはし）は、愛知県江南市草井町と岐阜県各務原市前渡東町の間を流れる木曽川に架けられた重要な橋梁です。愛知県道・岐阜県道17号江南関線の一部を構成しており、形式としてはトラス橋が採用されています。1969年（昭和44年）に供用が開始されました。

この橋は、名古屋市や小牧インターチェンジ方面から、岐阜県各務原市の中心部を経由して、関市や郡上市方面へと向かう上で不可欠なルートとなっており、広域交通網において重要な役割を担っています。しかし、愛岐大橋の上下流およそ4キロメートルにわたる区間には他の橋が存在しないため、特に朝夕の通勤・帰宅時間帯には慢性的な交通渋滞が発生しやすい構造となっています。近隣に航空自衛隊岐阜基地があることから、航空祭が開催される日には、帰宅ラッシュと重なり大規模な渋滞を引き起こすことも珍しくありません。

愛岐大橋の車道橋としての主な諸元は以下の通りです。

供用開始：1969年（昭和44年）
全長：610.4メートル
* 全幅：8.1メートル（歩道部分を含む）

歴史

愛岐大橋が開通する以前、現在の橋よりも下流側約300メートルの地点（現在のすいとぴあ江南近辺）には、「草井渡船（草井の渡し）」と呼ばれる渡し舟が運行されていました。この渡し舟は木曽川の増水時には欠航することがあり、交通の安定性に課題を抱えていました。1930年（昭和5年）には県営の渡船として運営されましたが、愛岐大橋の完成・供用開始に伴い、その役目を終えて廃止されました。

開通から40年以上が経過し、愛岐大橋には老朽化が目立つようになってきました。1999年（平成11年）には、橋を支える梁の損傷や橋脚の腐食が深刻な状況であることが確認され、安全確保のため一時的に通行止めとし、緊急点検が実施されています。

また、現在の愛岐大橋は上下線それぞれ1車線ずつの構造であるため、早朝や深夜といった交通量の少ない時間帯を除いて、橋梁そのものだけでなく、それに接続する周辺道路においても日常的に渋滞が発生しています。

この慢性的な渋滞を解消するため、いくつかの対策が進められています。2013年（平成25年）3月24日には、愛岐大橋よりも下流側の木曽川本流に、各務原市上中屋町と同市川島小網町を結ぶ各務原大橋が新たに完成しました。この各務原大橋と、既に供用されている神明小網橋とを合わせて活用することで、各務原市西部地域と江南市中央部を結ぶ迂回ルートが形成され、愛岐大橋の交通量が多少なりとも緩和される効果が見られました。さらに、愛岐大橋の上流側にあたる、丹羽郡扶桑町と各務原市の間にも「新愛岐大橋（仮称）」の建設が計画されていますが、こちらの完成時期は現在のところ未定です。

特記事項

愛岐大橋は、映画のロケ地としても知られています。2006年（平成18年）に公開され、奥田瑛二氏が監督を務め、モントリオール世界映画祭でグランプリを受賞した作品『長い散歩』の撮影場所の一つとして使用されました。

また、稀なケースとして、2016年（平成28年）9月11日夜には、カゲロウと見られる大量の羽虫が発生し、道路上に降り積もった虫によって走行中の車両がスリップする危険な状況となりました。これを受け、愛知・岐阜両県警察の判断により、同日午後8時40分頃から約3時間にわたり、橋が一時的に通行止めとなる事態が発生しています。

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