愛川欽也の探検レストラン

愛川欽也の探検レストラン：料理の常識を覆した革新的番組

『愛川欽也の探検レストラン』（1984年10月18日～1987年3月28日放送）は、愛川欽也が司会を務めた、料理バラエティ番組の金字塔です。キリンビール提供番組として『KIRIN WORLD』を副題に冠し、単なる料理番組の枠を超えた実験的な企画の数々が話題を呼びました。

番組の大きな特徴は、愛川欽也の「何でも食べて実験する」というスタンスでした。既存のレシピにとらわれず、新しい料理やメニューを開発・プロデュースする姿勢は、当時としては斬新で、現在の食番組の先駆けとも言えます。

特に、テレビ番組におけるラーメン特集の先鞭をつけたことは、特筆すべき点です。当時としては珍しかったラーメン特集は、視聴者に大きなインパクトを与え、後の食番組に大きな影響を与えました。番組の人気は高く、視聴者から多くの支持を獲得していました。

さらに、番組はテレビ朝日旧局舎（六本木センター）内に「たべたか楼」というレストランを設立。番組終了後も2000年春の同センター取り壊しまで営業を続け、番組の人気の高さを示していました。キリンビールと共同開発した「ハートランドビール」も、現在に至るまで製造・販売され続けているロングセラー商品となっています。

番組内では、様々な企画が展開されました。

マスコミ食堂大戦争: テレビ局、ラジオ局、新聞社、出版社の食堂を紹介する企画。NHKは改装中だったため紹介できませんでしたが、この企画で各局の食堂の様子が紹介されました。この時、リポーターの香坂みゆきがフジテレビ『森田一義アワー 笑っていいとも!』のテレフォンショッキングに出演したエピソードは、番組内で放送されたことも話題となりました。
荻窪ラーメン（「佐久信」リニューアル計画）: 荻窪のラーメン店「佐久信」のリニューアルに番組が関わった企画です。
小淵沢駅駅弁プロジェクト: 料理評論家・山本益博らと中央本線小淵沢駅の新駅弁を開発。「元気甲斐」として発売されました。
おそばのそば屋長寿庵: 東京都内の「長寿庵」をプロデュース。食事券発行や「おそばの日」制定など、多角的な取り組みを行いました。
* 地下鉄駅弁プロジェクト（表参道駅「PAC-CICA」）: 地下鉄で食べられる弁当の開発。中身の異なる揚げおむすびが提供されました。

これらの企画は、単に料理を紹介するだけでなく、地域活性化や食文化への貢献という側面も持ち合わせていました。

番組は1987年春に1時間拡大の生放送番組『Eat9』へと発展的に終了。スタッフには、ナレーターの武田広、構成の出倉宏、テーマ音楽の小田裕一郎、そしてテレビ朝日の玉井愛美子ディレクター、村居義弘プロデューサー、田川一郎チーフプロデューサーなどが名を連ねています。制作プロダクションはイースト、フルハウステレビプロデュース、東映、武市プロダクションなど、複数の会社が参加していました。

放送時間は、当初は毎週木曜22:00～22:30でしたが、『ニュースステーション』開始に伴い、毎週土曜19:30～20:00に変更されました。ネット局はテレビ朝日系列局が中心でしたが、系列外局でも放送され、地域によっては時間差放送や曜日変更などが行われていました。クロスネット局や系列外局の放送状況は複雑で、地域によって視聴状況は大きく異なっていました。

『愛川欽也の探検レストラン』は、単なる料理番組にとどまらず、食文化への貢献、地域活性化、そして新しいテレビ番組の形を提示した画期的な番組だったと言えるでしょう。その影響は、現代の食番組にも色濃く残っています。

もう一度検索