愛知交際2女性殺害事件

愛知交際2女性殺害事件

愛知交際2女性殺害事件とは、1999年と2003年に愛知県内で発生した二つの殺人事件を指します。この事件では、一人の男が二人の女性を殺害したとして、殺人罪、死体遺棄罪、死体損壊罪で起訴されました。

事件の概要

1999年8月15日、愛知県海部郡蟹江町で、Aは不倫関係にあった女性Bと金銭トラブルになりました。借金の返済を迫られたAは、Bから激しくなじられ、ビール缶を投げつけられたことに激怒。借金とBの両方を消し去ろうと考え、Bの首を両手で絞め窒息死させました。

2003年5月25日には、愛知県一宮市で、またもやAの犯行によって、不倫関係にあった女性Cが窒息死させられる事件が発生しました。CはAに結婚を迫り、不倫関係を妻に暴露すると脅していたとされます。さらに、Aの会社での不正行為についても公表すると言われており、Aはこれらの脅迫から逃れるためにCを殺害したと考えられています。Cを殺害後、AはカッターナイフでCの四肢などを切断し、六つに分割。黒色のビニール袋に詰め、岐阜県柳津町（現在の岐阜市）の境川に遺棄しました。その後、遺体を河川敷の雑木林に埋めるなど、遺体の損壊・遺棄を繰り返しました。

裁判の経過

逮捕後の裁判では、Aは当初、二人の女性殺害を認めていましたが、公判では一転して無罪を主張しました。弁護側は、1999年のB殺害については自殺であると主張。捜査段階の自白調書は信用性に欠けると訴えました。2007年2月23日、岐阜地裁（土屋哲夫裁判長）は、弁護側の主張を退け、Aに死刑判決を言い渡しました。判決では、Aの動機は借金問題に端を発しており、酌量の余地はないと断じました。

この判決に対し、弁護側は控訴。しかし、2008年9月12日、名古屋高裁（片山俊雄裁判長）も一審判決を支持し、控訴を棄却しました。控訴審で弁護側は、新たにC殺害について、Cが包丁を持ち出したことによる正当防衛を主張しましたが、判決では、捜査段階の自白調書を信用できるとし、控訴審になって初めて重要な事実を供述するのは不自然であると指摘しました。

弁護側は最高裁へ上告しましたが、2011年11月29日、最高裁第三小法廷（那須弘平裁判長）は上告を棄却。Aの死刑判決が確定しました。

現在、Aは名古屋拘置所に収監されています。

事件の背景

この事件は、借金や不倫関係といった個人的な問題が、二つの殺人事件に発展したという点で、非常に衝撃的な事件でした。Aは、自身の保身のために二人の女性の命を奪い、さらに遺体を損壊するという残虐な行為に及んだことから、その冷酷さが際立っています。裁判では、一貫して自身の罪を認めようとしなかったことも、社会に大きな衝撃を与えました。

参考資料

47NEWS. “2女性殺害、2審も死刑　「人命軽視」と名古屋高裁”. (2008年9月12日).
朝日新聞. “交際2女性絞殺の被告、死刑確定へ　最高裁が上告棄却”. (2011年11月29日).

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