愛知電気鉄道デキ400形電気機関車

愛知電気鉄道デキ400形電気機関車

愛知電気鉄道デキ400形電気機関車は、1930年に愛知電気鉄道（愛電）が新たに発注した直流用の電気機関車です。後に愛電が名岐鉄道と合併し名古屋鉄道（名鉄）が設立された際も、この機関車はデキ400形の形式称号を維持しています。名鉄の旧型電気機関車の中で唯一の箱型機であり、2両（400号と401号）が在籍していました。

機関車の概要

愛知電気鉄道が発注したデキ400形は、その中でも最後の自社発注の機関車です。400号は1930年に製造され、401号は1932年に完成しました。名鉄が設立された1935年には、400号は402号に改番され、1連番からスタートしました。全体の車体は日本車輌製造で作られていますが、機器類はアメリカのウェスティングハウス社製が使用されています。

デキ400形は、名古屋鉄道の本格的な機関車としては、EL120形が登場するまで唯一の箱型機関車として親しまれました。特にその独自のスタイルから、多くの模型ファンに好まれています。外観の特徴として、前面窓上の大きなひさしや、窓下に位置する砂箱が挙げられます。このデザインは、機関車に一層の威厳を与えています。

元々、デキ400形にはウェスティングハウス製の特大のパンタグラフが2基取り付けられていましたが、その後PS13形に1基変更され、最終的にはPT42-F形に改装されました。また、台車は日本車輌製の板台枠式で、名鉄には珍しい台車牽引式が採用されています。

性能

主電動機はWH-550-JF-6形で、出力は93.25kWが4基搭載されています。ギア比は4.785で、定格出力は360kW、定格引張力は4750kg、最高速度は27.5km/hです。過去には黒色の塗装が施されていましたが、1993年の特別整備に伴い、メイテツブルーに変更され、見た目も刷新されました。デッキや手すりなどの黄色い部分は旧塗装からの変更を受けていません。

名鉄に所有された後は、主に東部・三河線での運行が行われていましたが、貨物列車の運行中止後は矢作橋駅構内に留置され、夜間のプッシュプル運転に利用されていました。401号は一時的に三岐鉄道や岳南鉄道に貸し出されたこともある貴重な機関車です。

廃車

老朽化が進行したため、2015年にはデキ400形の代替が決定され、2016年6月6日には正式に除籍され、廃車となりました。この機関車は名古屋鉄道の歴史の中で重要な役割を果たした存在であり、多くの鉄道ファンに愛されていました。

参考文献

• - 清水武・田中義人・澤内一晃『名古屋鉄道の貨物輸送』フォトパブリッシング、2021年。ISBN 978-4-8021-3270-1。
• - 清水武・田中義人『名古屋鉄道車両史 上巻』アルファベータブックス、2019年。ISBN 978-4-86598-847-5。
• - 鉄道ピクトリアル2006年1月号（臨時増刊号）通巻№771　電気車研究会

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