慈眼院

慈眼院（じげんいん）

慈眼院は、大阪府泉佐野市の日根野に位置する真言宗御室派の寺院です。寺院は大悲山と称され、本尊には薬師如来が祀られています。過去には近隣の日根神社の神宮寺として機能しており、その歴史は非常に深いものがあります。特筆すべきは、国宝に指定されている多宝塔で、これは日本の三名塔の一つとも呼ばれています。このように、慈眼院は歴史的な文化財を多く抱える寺院として重要な位置を占めています。

歴史

慈眼院の起源は、伝説によれば天武天皇二年（673年）にさかのぼるとされています。当時、天皇の勅願寺であり、日根神社の神宮寺でもあったこの寺院は、覚豪阿闍梨の手によって井堰山願成就寺無辺光院の名で開設されました。奈良時代の天平年間（729年 - 749年）には、聖武天皇の勅命を受け、寺領がさらに拡張されたと伝えられています。後に弘仁六年（815年）には、空海がこの寺院の再興を行い、その後の発展を促しました。

南北朝時代の正平八年（1353年）には戦火で一度焼失したものの、再び天皇の命によって再建され、その後も歴代の権力者により修復と再興が続けられました。特に、九条政基が文亀元年（1501年）に日根に滞在し、領地の直接経営を行った際には、寺の重要性が一段と高まっていたことが分かります。

時代が進むにつれ、天正十三年（1585年）には羽柴秀吉により紀州征伐が行われ、無辺光院は再び焼失しました。しかし、豊臣秀頼によって慶長七年（1602年）に再興が始まり、多くの堂宇が建立されました。寛文年間（1661年 - 1673年）には岸和田藩の藩主によってさらなる修復が施され、最終的に中之坊から「慈眼院」という院号が賜りました。

明治時代に入ると、神仏分離の政策が実施され、無辺光院は日根神社から分離されました。この過程で多くの塔頭が廃絶され、その中で慈眼院だけが残され、現在の真言宗御室派としての地位を確立しました。

境内の見どころ

慈眼院の境内には多くの見どころがあります。まず、本堂や庫裏、重要文化財に指定されている金堂（毘沙門堂）があります。この金堂は鎌倉時代の後期に建立され、重要な文化資源となっています。そして国宝の多宝塔は文永八年（1271年）に建立されたもので、高さ約10メートルの木造建築として国宝に指定されています。この塔は、日本の多宝塔三名塔の一つとされています。

また、境内には庭園や石仏群、本邦洋式製革始祖碑など、さまざまな文化財が存在し、多彩な歴史を語っています。特に、日根神社の参道には慈眼院の姥桜という大阪府指定の天然記念物もあり、訪れる者に美しい景観を提供しています。

アクセス情報

訪れる際は、南海電鉄の泉佐野駅または阪和線の日根野駅から南海バス「犬鳴山」行きに乗車し、「東上」停留所で下車すると、すぐに慈眼院に到着します。拝観は午前8時から午後5時まで行われており、事前の予約が必要です。

慈眼院は、多宝塔をはじめとする貴重な文化財を抱え、歴史を感じる空間として訪れる者に深い感動を与えています。近隣には日根神社など関連施設もあり、歴史と文化を深く味わうことができるポイントとなっています。

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