慧皎

慧皎（えこう）

慧皎は、中国南朝梁代の僧侶であり、特に仏教史書『高僧伝』の編纂者として名を残しています。彼の生涯は、仏教の研究と著述に深く捧げられました。

生涯

慧皎は会稽郡上虞県（現在の浙江省紹興市上虞区付近）の出身ですが、彼の氏族に関する詳しい記録は残っていません。彼は学問に励み、仏教の経典や戒律（経律）だけでなく、世俗の書物にも広く通じていました。会稽の嘉祥寺に住み、春夏の時期には仏法を講義し、秋冬には著述に専念するという生活を送っていました。

承聖2年（553年）に勃発した侯景の乱を避けるため、慧皎は尋陽郡湓城県（現在の江西省九江市一帯）へと避難しました。しかし、翌年の承聖3年（554年）2月に58歳で遷化し、その遺体は廬山の禅閣寺に埋葬されました。

業績

慧皎の最大の業績は、仏教史書である『高僧伝』を編纂したことです。この書は、中国における仏教の伝来から梁代に至るまでの高僧たちの伝記をまとめたもので、仏教史研究における重要な基礎資料となっています。

著書

慧皎は、『高僧伝』以外にも以下の著作を残しています。

『涅槃経験義疏』：涅槃経に関する注釈書
『梵網経疏』：梵網経に関する注釈書

参考文献

紀贇 『慧皎〈高僧伝〉研究』 （上海古籍出版社、2009年）ISBN 978-7-5325-5140-8（現代中国語文献）
『慧皎　高僧伝』 吉川忠夫・船山徹訳注（岩波文庫 全4巻、2009年8月－2010年9月）
1巻 ISBN 4003334213
2巻 ISBN 4003334221
3巻 ISBN 400333423X
4巻 ISBN 4003334248

慧皎の研究は、中国仏教史を理解する上で欠かせない要素であり、彼の編纂した『高僧伝』は、後世の仏教研究に多大な影響を与え続けています。彼の生涯は、仏教への深い献身と学問への情熱に彩られていました。

もう一度検索