慰安婦の碑

慰安婦の碑とは

慰安婦の碑とは、旧日本軍の慰安婦問題を象徴する石碑です。これらの碑は、日本、韓国、アメリカなど、世界各地に設置されています。慰安婦問題は、第二次世界大戦中に日本軍によって強制的に性奴隷にされたとされる女性たちの問題であり、その歴史的認識を巡って、現在も議論が続いています。

設置の目的と推進団体

慰安婦の碑の設置目的は、一般的に慰安婦の追悼とされています。しかし、実際には、韓国や中国を中心とする反日活動の一環であるとの指摘も存在します。碑の設置を推進する主な団体としては、アメリカでは韓国系や中国系の民間団体、韓国では韓国挺身隊問題対策協議会、オーストラリアでは全豪中韓反日本戦争犯罪連盟、日本では左翼系団体の「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センターなどが挙げられます。

2008年9月には沖縄県宮古島で最初の慰安婦碑が設置され、その後、韓国やアメリカを中心に碑や像の設置が進みました。特にアメリカでは、韓国系住民のコミュニティを中心に、各地で慰安婦碑や像の設置が進んでいます。

碑文内容の問題点と各国の対応

多くの慰安婦碑には、「日本軍が20万人以上の慰安婦を強制連行した」「慰安所では慰安婦は性奴隷扱いだった」といった主張が記載されています。これに対し、日本の民間団体などは、「20万人の根拠はない」「民間業者が慰安婦を募集した」「性奴隷的扱いはなかった」などと反論しています。慰安婦問題の当事国ではないアメリカでは、これらの主張を巡って撤去運動や訴訟が起こるなど、日韓だけでなくアメリカ、オーストラリアを巻き込んだ国際問題に発展しています。

日本政府は、過去の慰安婦問題について、元慰安婦の方々へ謝罪を重ね、アジア女性基金を通じて償い金を支給するなど、人道的な対応を行ってきました。しかし、慰安婦問題の根本的な解決には至っていません。また、慰安婦の碑を設置している韓国側は、自国の問題である韓国軍慰安婦に対する碑や像は設置していないという事実があります。

アメリカ合衆国における慰安婦の碑

アメリカにおける慰安婦の碑は、2009年頃から韓国系住民を中心に設置が進められています。彼らは、「従軍慰安婦のような人権侵害を二度と繰り返さないために、平和の重要性を訴える」ことを目的としています。しかし、その設置活動は、中国系の反日団体と連携した韓国系団体が主導しており、地元住民の意向を十分に反映せずに強行されるケースも少なくありません。

慰安婦の碑の設置を巡っては、韓国系団体と地元住民の間で主導権争いやトラブルも発生しています。韓国系アメリカ人有権者協議会の幹部は、「アメリカ社会に日本の隠された実態を暴露することは、長期的には東海（日本海）や独島（竹島）の問題解決にも繋がる」と述べています。

また、韓国側の主張は、日本政府との事前の擦り合わせによって証言する元慰安婦の人選まで韓国側の要求を受け入れた「河野談話」での高齢の元慰安婦の曖昧な証言のみを根拠としており、当時の韓国人業者による女性の誘拐事件やアメリカ軍の調査報告書の内容とも整合性が見られないとの指摘も存在します。また、グレンデール市の碑文以外には日本人慰安婦が省かれており、韓国系住民による慰安婦碑や像の設置は、日本を貶めるための「ディスカウント・ジャパン」運動の一環であるとの見方もあります。

一方で、日本軍が女性を「性奴隷」とする制度を運営していたと主張する研究者は、アメリカ軍の調査報告書の募集の項に日本の斡旋業者が就労詐欺により朝鮮人女性を集めていたとの記載がある為、慰安婦の「強制性」があったと指摘しています。

アメリカにおける慰安婦の碑・像の設置状況

アメリカでは、以下の場所に慰安婦の碑や像が設置されています。

2010年10月：ニュージャージー州バーゲン郡パリセイズ・パーク
2012年6月：ニューヨーク州ナッソー郡
2012年12月：カリフォルニア州オレンジ郡ガーデングローブ
2013年3月：ニュージャージー州バーゲン郡ハッケンサック
2013年7月：カリフォルニア州ロサンゼルス郡グレンデール
2014年1月：ニューヨーク州ナッソー郡
2014年5月：バージニア州フェアファックス郡
2014年8月：ニュージャージー州ハドソン郡ユニオンシティ
2014年8月：ミシガン州デトロイト市
2018年5月：ニュージャージー州バーゲン郡フォートリー

これらの慰安婦の碑や像には、「20万人以上の女性が強制連行された」「慰安婦は性奴隷だった」といった主張が刻まれています。これらの主張は、日本国内では事実と異なるという意見も多く、アメリカ国内でも論争が続いています。

各地における慰安婦の碑の設置を巡る動き

ニュージャージー州パリセイズ・パーク

パリセイズ・パークは、韓国系住民が多く住む街であり、2010年に慰安婦の碑が設置されました。この碑には、ヘルメットを被った日本兵が女性を連行する様子が描かれています。日本の国会議員団がこの碑の撤去を要求しましたが、市側は「拉致があったのは事実」として撤去を拒否しました。また、この街では慰安婦問題をテーマとしたマラソン大会や、旭日旗を戦犯旗として追放する運動なども行われています。

ニュージャージー州ハッケンサック

ハッケンサックでも、韓国系高校生らが慰安婦記念碑の建設を推進し、2013年に裁判所脇に碑が設置されました。碑文には「何十万人もの婦女子が強制連行された」「性的奴隷状態にされた」といった内容が刻まれています。

ニュージャージー州フォートリー

フォートリーでは、慰安婦の碑の設置案に「性接待」という表現があったり、旭日旗のデザインがあったことなどから、韓国系団体が設置案の変更を求め抗議しました。2018年になり慰安婦の記念碑が公園に設置されました。

ニュージャージー州ハドソン郡

ハドソン郡ユニオンシティの市立公園には、2014年に慰安婦の碑が設置されました。除幕式には、韓国から元慰安婦とされる女性らが招かれ、「慰安婦は人を殺す屠殺場だ」と訴えました。

ニューヨーク州ナッソー郡

ナッソー郡のアイゼンハワー公園には、2012年に慰安婦の碑が設置されました。碑の上部には、慰安婦たちの写真が刻まれています。

カリフォルニア州オレンジ郡

オレンジ郡ガーデングローブには、2012年にショッピングモール前に慰安婦記念碑が設置されました。

カリフォルニア州ロサンゼルス郡

ロサンゼルス郡グレンデールには、2013年に慰安婦像が設置されました。ソウルの日本大使館前に設置されたものと同じ像です。碑文には「日本軍によって強制的に性奴隷状態にされた」と刻まれています。

バージニア州フェアファックス郡

フェアファックス郡の郡庁敷地内には、2014年に慰安婦の碑が設置されました。除幕式には、韓国から元慰安婦とされる女性が参加し、「日本政府は謝罪すべきだ」と訴えました。

ミシガン州 デトロイト市

デトロイト市の韓国人文化会館前庭には、2014年に慰安婦像が設置されました。これは、韓国の日本大使館前とカリフォルニア州グレンデール市に設置されたものと同じ像です。

在米中国人団体の影響

在米韓国人の団体は、慰安婦問題を主な活動目標としている団体が少なく、規模も小さいことが指摘されています。その一方で、慰安婦の碑の建立を積極的に推進しているのは、中国政府系在米中国人団体の世界抗日戦争史実維護連合会であるとされています。

在米日本人社会の「悲鳴」

アメリカでは、慰安婦の碑の設置が在米日本人に悪影響を及ぼしているという報告があります。在米日本人からは、「子供がいじめられる」「夫の仕事に支障が出る」といった悲痛な訴えが上がっています。また、慰安婦問題に関する誤った情報が広まることで、在米日本人が「無実の韓国人女性をレイプした日本人の子孫」として白眼視されるようになっているという指摘もあります。

慰安婦像設置に対する反対運動

慰安婦の碑の碑文が事実と異なり、日本や日本人のイメージを毀損するとして、像の撤去や新設に反対する動きも出ています。カリフォルニア州ブエナパーク市議会は、慰安婦像の設置案を「公共の場は外国の政治的闘争の場ではない」として否決しました。また、アメリカ人のトニー・マラーノは、グレンデール市の慰安婦像の撤去を求める請願活動を行い、10万件以上の署名を集めました。

大韓民国における慰安婦の碑

韓国では、日本大使館前の慰安婦像をはじめ、多くの慰安婦像や碑が建てられています。これらの像や碑は、日本の歴史認識に対する抗議の象徴となっています。

日本における慰安婦の碑

日本では、千葉県鴨川市や館山市、沖縄県宮古島市などに慰安婦の碑が設置されています。これらの碑は、元日本兵や地元住民によって建てられたもので、慰安婦の霊を慰めるために建てられています。

その他の地域での設置計画

シンガポールでは、韓国挺身隊問題対策協議会が慰安婦像の設置を計画していましたが、シンガポール政府に拒否されています。オーストラリアのシドニー大都市圏ストラスフィールドでも、慰安婦像の設置計画が否決されています。

まとめ

慰安婦の碑は、慰安婦問題という歴史的な出来事を象徴するモニュメントです。しかし、その設置の背景には、様々な政治的、歴史的な思惑が絡み合っており、慰安婦問題をより複雑なものにしています。慰安婦問題の解決のためには、歴史的事実を正確に認識し、関係各国が誠実な対話を行うことが重要であると言えるでしょう。

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