慶應義塾大学キリスト教青年会館

慶應義塾大学キリスト教青年会館について

慶應義塾大学キリスト教青年会館は、神奈川県横浜市港北区日吉にある慶應義塾大学日吉キャンパス内に位置する教会です。通称「YMCAチャペル」「日吉チャペル」とも呼ばれ、横浜市登録歴史的建造物に指定されています。この建物は、1937年（昭和12年）に慶應義塾基督教青年会の創立者の一人である里見純吉氏らの寄付によって設立されました。

建築の特徴

設計は、日本各地で西洋建築を手がけた建築家ウィリアム・ヴォーリズが担当しました。外観は白モルタル仕上げの壁と、赤色の鉄板葺き屋根が特徴的で、屋根には十字架をいただく尖塔がそびえています。内部は装飾を排した簡素な設計で、会堂に加えて、会員の部屋が設けられています。屋根を支える構造にはトラス梁が用いられ、木造平屋建ての建物は、創建当時の姿をほぼそのまま残しています。この会館は、第二次世界大戦中には海軍に貸与され、軍令部分室として使用された時期もありました。横浜市内に現存するヴォーリズ建築は、この会館と横浜共立学園中学校・高等学校の本校舎のみとなっています。

所在地とアクセス

• - 所在地：横浜市港北区日吉4-1-2
• - 交通アクセス：日吉駅（東急東横線、東急目黒線／横浜市営地下鉄グリーンライン）から徒歩6分

日本の大学におけるチャペルの存在

キリスト教主義に基づかない日本の大学において、チャペルが存在することは珍しいです。しかし、慶應義塾大学は福澤諭吉が英国国教会系のキングス・カレッジ・スクールをモデルに創設した経緯から、その歴史の中でキリスト教と深い関わりを持っています。実際に、慶應義塾大学には、かつてアーサー・ロイド宣教師が設立した教会があり、これが後に喜望教会へと発展しました。

また、早稲田大学にも、かつては早稲田奉仕園内に礼拝堂がありました。同園は、大隈重信が米国バプテスト教会の宣教師に依頼して設立したキリスト教主義に基づく施設であり、早稲田大学の国際化に貢献しています。早稲田大学の幹部にもキリスト教徒やキリスト教主義学校出身者が多く、大学とキリスト教の繋がりは深いと言えるでしょう。

さらに、北海道大学もキリスト教と縁が深く、クラーク博士がキリスト教精神を説いたことで知られています。大学構内にはありませんが、隣接して日本聖公会の教会があり、夜にはその十字架が照らされ、大学との繋がりを示しています。このように、日本の大学には、歴史的な経緯からキリスト教の文化が根付いている場合があります。

まとめ

慶應義塾大学キリスト教青年会館は、単なる教会施設としてだけでなく、その建築様式や歴史的背景から、日本の近代建築史を語る上で重要な存在です。また、日本の大学におけるキリスト教の役割を考える上で、貴重な事例と言えるでしょう。会館は現在も、慶應義塾大学の学生や教職員、地域の人々に開かれた場所として、その役割を果たしています。



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